研究実績の概要 |
我々は、マウス(129SV)を用いて5/6腎摘除モデルを作成し、低温サウナ治療群、非治療群に分け、同様に偽手術を施したマウスを低温サウナ治療群と非治療群に分け、4群(各n=8)で実験を行った。低温サウナ治療には電熱式自然対流温熱装置を用い、41℃、15分間の加温、その後32℃、20分間の保温を4週間,5日/週実施した。 Nxモデル完成時の血清クレアチニンは偽手術群に比して有意な上昇を示した。4週間の低温サウナ治療後、尿細管障害が非治療群に対して有意に少ないことがPAS染色と尿中NGALで明らかになった。低温サウナ治療群が尿中アルブミン排泄量も有意に少なかった。一方、クレアチニンクリアランス、収縮期血圧、体重、水分摂取量、24時間尿量、血清ナトリウムなどの電解質にも有意差はなく、今回の低温サウナ設定において明らかな有害事象はなかった。 低温サウナ介入は初期の慢性腎臓病モデルで尿細管障害を軽減させることが期待できる。低温サウナはコストもかからず、安全に用いることができ、透析導入を遅延させる効果が期待でき、今後さらにメカニズム解明へと進み、ヒトへの応用を実現したい。
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