研究課題/領域番号 |
24500636
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部) |
研究代表者 |
川村 和之 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (10450959)
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研究分担者 |
乾 俊夫 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (40167268)
三ツ井 貴夫 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (80294726)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パーキンソン病 |
研究概要 |
近年、「プラセボ効果」に対する認識が劇的に変化しつつある。すなわち、プラセボ効果は精神生化学的な現象であり、一つの治療法として応用可能であることも指摘されている。特にパーキンソン病患者では著名なプラセボ効果があり、線条体の内因性ドーパミンの分泌増加を伴っていることが明らかになった。プラセボ効果の検討は偽薬の投与や外科的治療について、主に行われてきた。一方、リハビリテーションのプラセボ効果についてはほとんど研究がなされていない。本研究は、プラセボ効果を最大限に活用する、全く新しいリハビリテーションプログラムの構築を目指すことを目的としている。そのために、我々がすでに実施している5週間入院によるパーキンソン病リハビリテーションにおけるプラセボ効果とその関連因子を様々な角度から解析し、この効果をさらに増大させるように実際のプログラムに活用することを計画した。 平成23年度から24年度の間に、国立病院機構徳島病院において、68名のパーキンソン病患者が5週間の入院リハビリテーションを受けた。これらの患者に対して、リハビリテーション開始時(第0週)と終了時(第5週)に、リハビリテーションに対する「期待度」と「満足度」について5段階評価のアンケート調査を実施中である。また、リハビリテーションによる精神機能と運動機能の改善を定量的に判定するために、同時期に、MMSE、MoCA、FAB、SDSとUPDRSを評価している。 上記の68名の患者の中に、家族性パーキンソン病であることが疑われる患者が15名含まれていた。これらの患者を対象にPARK2とKlokin1遺伝子の遺伝子解析を行った結果、1名の患者で新規の遺伝子異常を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は68名のパーキンソン病患者が入院リハビリテーションを受けた。現在の入院予約状況から、平成25年度も24年度と同程度の患者がリハビリテーションを受けると思われる。このように、患者からのデータの蓄積は順調に進んでいる。また、パーキンソン病の運動症状の評価尺度を増やすことを目的として、3軸加速度センサーを導入することも出来た。 家族性パーキンソン病患者を対象とした遺伝子検査では、1名の患者で新規の遺伝子異常を認めた。 一方で、現時点では、脳機能マッピングを目的としたfMRIと光トポグラフィーの導入は、当初計画したように進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度も、平成24年度と同様に、5週間のリハビリテーションを受けるパーキンソン病患者に「期待度」「満足度」に関するアンケート調査と精神・運動機能評価を実施し、データを蓄積する。対象を広げ、パーキンソン病以外のパーキンソン症候群(進行性核上性麻痺や多系統萎縮症)の患者からもデータを収集する。国立病院機構徳島病院の外来で同様のリハビリテーションを受けているパーキンソン病患者を対照群として用いる。これらのデータを統計学的に処理し、「期待度」「満足度」とリハビリテーションによる症状の改善度の間に相関関係があるか、相関関係がある場合には「期待度」と「満足度」の中で、症状の改善度と最も強い相関を示す項目を明らかにする予定である。 家族性パーキンソン病患者を対象とした遺伝子検査は、引き続き実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
統計学的検討のために、統計ソフト(IBM SPSS Statistics)と専用のコンピューター一式を購入する予定である。 本研究に関連した、徳島病院で実施しているパーキンソン病リハビリテーションで得られた成果を、第54回日本神経学会学術大会(平成25年5月29日~6月1日)において発表の予定である(演題5題)。第67回国立病院総合医学会においても演題発表を予定しており、これらの旅費の一部に研究費を使用する予定である。 また、パーキンソン病リハビリテーションのプログラムをさらに充実させるために、低速トレッドミルの購入を検討している。
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