研究課題/領域番号 |
24500636
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部) |
研究代表者 |
川村 和之 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (10450959)
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研究分担者 |
乾 俊夫 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (40167268)
三ツ井 貴夫 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (80294726)
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キーワード | パーキンソン病 |
研究概要 |
近年、「プラセボ効果」に対する認識が劇的に変化しつつある。すなわち、プラセボ効果は精神生化学的な現象であり、一つの治療法として応用可能であることも指摘されている。特にパーキンソン病患者では著名なプラセボ効果があり、線条体の内因性ドーパミンの分泌増加を伴っていることが明らかになった。プラセボ効果の検討は偽薬の投与や外科的治療について、主に行われてきた。一方、リハビリテーションのプラセボ効果についてはほとんど研究がなされていない。本研究は、プラセボ効果を最大限に活用する、全く新しいリハビリテーションプログラムの構築を目指すことを目的としている。そのために、我々がすでに実施している5週間入院によるパーキンソン病リハビリテーションにおけるプラセボ効果とその関連因子を様々な角度から解析し、この効果をさらに増大させるように実際のプログラムに活用することを計画した。 平成25年度は、67名のパーキンソン病患者が、国立病院機構徳島病院において入院リハビリテーションを受けた。平成24年度と合わせて、のべ135名の患者がリハビリテーションを受けたことになる。これらの患者に対して、リハビリテーション開始時(第0週)と終了時(第5週)に、リハビリテーションに対する「期待度」と「満足度」についてのアンケート調査とパーキンソン病の精神機能と運動機能の評価としてMMSE、MoCA-J、FAB、SDSとUPDRSを実施し、データを蓄積した。 平成25年に徳島病院神経内科を受診した新規患者の中に、家族性パーキンソン病の疑われた患者が11名含まれていた。これらの患者を対象にPARK2とKlokin1遺伝子の遺伝子解析を行った。その結果、1名の患者でPARK2遺伝子のエクソン3欠損を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リハビリテーションを受けた患者からのデータは蓄積されているものの、その統計学的解析が終了していない。また、リハビリテーション前後における脳機能変化を他覚的に計測することを目的としたfMRI、光トポグラフィー検査は、機器のアップグレードやリースに当初予定したよりも多額の費用がかかることが判明し、予定通りに導入出来ていない。家族性パーキンソン病が疑われた患者に対する遺伝子検査は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度も、前年度と同様に5週間のリハビリテーションを受けるパーキンソン病患者に「期待度」「満足度」に関するアンケート調査と精神・運動機能評価を実施し、データを蓄積する。統計ソフト(IBM SPSS Statistics)を購入し、これらのデータの統計学的解析を出来るだけ速く効率的におこない、患者の「期待度」、「満足度」とリハビリテーションによる症状の改善度の間の相関関係を明らかにする。そして、患者の「期待度」、「満足度」の中で症状の改善と最も強い相関を示した項目に着目し、プラセボ効果を活用した新しいリハビリテーションプログラムを構築する。 家族性パーキンソン病が疑われる患者に対するPARK2とKlokin1遺伝子の遺伝子解析を引き続き実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗が当初の計画より遅れ、予定していた統計ソフトと専用のコンピューター一式の購入と光トポグラフィー装置のリースを受けていないことが、次年度使用額が生じた原因である。 当初の予定通りに、統計ソフトと専用のコンピューター一式を購入するとともに、日立メディコ 光トポグラフィー装置 ETG-4000のリースを受ける。
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