研究課題/領域番号 |
24500638
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
三浦 美佐 筑波技術大学, 保健科学部, 准教授 (30612014)
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研究分担者 |
伊藤 修 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00361072)
上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698)
長坂 誠 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床准教授 (70375062)
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キーワード | 腎臓リハビリテーション / 慢性腎不全 / 有酸素運動 / 運動耐容能 / 筋力 / 心臓交感神経活動 |
研究概要 |
近年の血液透析療法の進歩はめざましく、長期間の生存が可能になってきた。その一方で、透析患者のADL自立度は、脳血管疾患患者より比較的保たれているとはいえ、透析患者の運動耐容能自体は心不全患者やCOPD患者の運動耐容能と同程度まで低下している。また運動習慣のない透析患者や運動耐容能の低い透析患者の生命予後は不良であることが判明し、透析療法には至らない保存期慢性腎不全患者においても状況は同様である。平成25年度は、不快感を与えない微弱な電気刺激や運動療法を腎不全患者に適用して、それらの臨床的有効性を検証した。 症例数は15例で、運動療法群5例、電気刺激群5例、対照群(通常の血液透析治療)5例とした。性別は、男性12例、女性3例で、年齢71±9歳、身長161.5±6.9、体重(ドライウエイト)60±14.4㎏であった。介入前の心臓自律神経活動の計測では、交感神経活動の過活動と副交感神経活動低下が認められ、日常生活の活動量も、年齢平均値よりも50パーセント以上低下していた。介入前後の前後比較では、大腿四頭筋力では運動療法群70.0→84.0、電気刺激群で45.0→52.3(N)の改善が認められたが、対照群に変化は認められなかった。心臓自律神経活動の変化でも、介入前に交感神経活動の低下が認められたが、電気刺激群で副交感神経活動が活性化されていた。また非透析日に、糖尿病性腎症(CKDステージ 5)と慢性糸球体腎炎(ステージ 2)に週1日、30分間のATレベルでの有酸素運動を実施した結果でも、介入前後に交感神経活動の抑制および持続性交感神経活動の抑制が認められた。しかし、週1日の運動でCKDステージ5の患者の運動耐容能は改善できなかった。したがって、運動の頻度が多ければ多いほど、筋力や運動耐容能に影響する可能性が示唆され、週1日の運動でも、心臓交感神経活動に影響を与えうると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って概ね実行できているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、対象数を増やし、介入期間や介入頻度、疾患特性などを比較検討し、科学的腎臓リハビリテーションの確立をめざしていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗電極が当初計画よりも安価に購入できたため。 平成26年度支払い請求額と合わせて、物件費等に充てる予定である。
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