研究課題/領域番号 |
24500641
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
林 豊彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40126446)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 拡大代替コミュニケーション / 音声出力コミュニケーションエイド / コミュニケーション障害 |
研究概要 |
1.基本機能の再検討:従来のフィールド実験結果から、汎用VOCAがもつべき基本機能について再検討した。その結果、汎用VOCAの構造は、従来と同じように、XMLファイルでページ単位で管理することにした。各ページは、1)ページ番号、2)レイアウト種別、3)ボタン数、4)各ボタンの情報(名称、位置、大きさ、画像ファイル名、音声ファイル名、次のページ番号)の情報から構成される。XMLファイルを用いているため、拡張性もある。 2.フィールド実験:特別支援学校等における障がい児のコミュニケーション支援を継続して行った。 3.カスタマイズ支援システムの試作:中間ユーザ(保護者、担任教師、作業療法士、言語聴覚士など)が簡単に汎用VOCAをカスタマイズできるWebベースの支援システムを開発するために、まず必要とされる基本機能と操作性について検討した。その結果、ボタンを作成するパレット、ページを作成するパレット、および動作を確認するエミュレータ機能が必要と考えた。そこで、パーソナルコンピュータで動作する支援システムを試作し、上記の機能の詳細設計を行った。そのシステムを用いて従来からの支援児のVOCAを作成し、その操作性を評価した。 4.iOS端末で動作する汎用VOCAの試作:従来開発してきたVOCAシステムを基盤として、カスタマイズ支援システムで作成した構造ファイル(XMLファイル)に基づいて、iOS端末(iPhone, iPod touch, iPad)で動作する汎用VOCAアプリケーションを開発した。従来からの支援児のVOCAを移行して、その動作を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.研究の目的:本研究の目的は、先行研究の成果として得られた「汎用VOCAの基本機能」をもつタブレット端末で動作するVOCAを開発することである。さらに、実際のVOCAの利用上必要とされる次の2つのサブシステムも開発する:1)中間ユーザである支援者・教師・保護者などが簡単に汎用VOCAを作製・改訂できるWebベースのカスタマイズ支援システム;2)利用者のVOCA使用記録を管理し、かつコミュニケーション能力評価を行う管理・分析システム。 2.達成状況:上記の目的で述べたシステムの開発段階は次の通りである:1)タブレット端末で動作するVOCAについては、iOS端末(iPhone, iPod touch, iPad)で動作するアプリケーションを開発した。さらに、サーバからXMLファイルなどのVOCAデータを端末にダウンロードするシステムも試作し、動作を確認した;2)Webベースのカスタマイズ支援システムについては、その機能について検討し、パーソナルコンピュータで動作する支援システムを試作した。そのWebベース化がH25年度の課題である;3)VOCA使用記録の管理、およびコミュニケーション能力評価を行う管理・分析システムについては、記録する内容について検討し、従来の汎用VOCAで実際に記録をとっている。使用記録を簡単に分析して、その結果を可視化するシステムを試作した。ただし、パーソナルコンピュータで動作するシステムである。H25年度の課題は、本格的な評価システムの開発である。
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今後の研究の推進方策 |
1.iOS端末で動作する汎用VOCAについて:1)各利用者のVOCAデータを管理するデータベースシステムの開発;2)データベースから端末へダウンロードするシステムの開発;3)カスタマイズ支援システムからデータベースにアップロードするシステムの開発。 2.Webベースのカスタマイズ支援システム:1)パーソナルコンピュータで動作する支援システムのWebベース化。 3.VOCA使用記録の管理、およびコミュニケーション能力評価を行う管理・分析システム:1)iOS端末で動作する汎用VOCAのアプリケーションに使用記録機能を追加;2)簡易使用記録分析・可視化システムのWeb化;3)本格的な評価システムの開発。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.物品:本格的なフィールド実験を開始するために、iOS端末(iPhone, iPod touch, iPad)を複数台購入する。また、サーバ用のパーソナルコンピュータ、実際にカスタマイズを行うパーソナルコンピュータ、および関連装置(バックアップ用外部ディスク等)も購入する。 2.消耗品:上記コンピュータ関連の消耗品、およびシステム開発に必要な開発環境および関連のソフトウェア、VOCAで用いる音声や画像を処理するためのアプリケーションソフトを購入する。 3.旅費:昨年度までの成果を国内学会大会・研究会、国際学会大会等で発表するために、旅費を使用する。 4.人件費・謝金:フィールド実験やシステムの操作性評価において、アンケート調査や人間工学的実験を行うために、被験者への謝金を必要とする。
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