研究課題/領域番号 |
24500643
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
二木 淑子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40300074)
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研究分担者 |
岡橋 さやか 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20610760)
小山 真紀 (田原 真紀) 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70462942)
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キーワード | 医療・福祉 / 高齢者 / 健康 / 地域 / バーチャル |
研究概要 |
平成25年度は以下の成果について、国内外の学術学会にて報告した。 1.紅茶を淹れる動作:在宅高齢者の家事遂行に伴うリスク判断のため、簡便かつ定量的な評価指標が必要とされている。本研究では、複雑な系列動作である紅茶準備課題を若年・高齢群に実施した。Kinectを使用して課題中の身体座標データを測定し、リスク要因に関する検査得点との関連を分析した。その結果、座標データと各種検査の間には有意な相関関係が認められ、高齢者のリスク評価におけるKinect使用の可能性が示唆された。 2.洗濯物を干す動作:重心移動を伴う洗濯物干し動作は高齢者にとって転倒等の危険が伴うため、簡便で客観的な動作評価が望まれる。本研究ではKinectを用いた動作中の座標データ、動作の安全性に関する観察評価、各種心身機能評価との関連を検討した。結果、Kinectの代表値は観察評価、心身機能との有意な相関を認めた。よって、Kinectを用いた日常生活動作能力のスクリーニングの可能性が示唆された。 3.書字動作:高齢者の身体・認知機能の評価は有効な介入には不可欠であり、評価手法には日常生活で馴染みの深い活動である事が望まれる。本研究では利き手示指先端に装着した三軸加速度センサから得られた書字動作時の合成加速度波形に基づく評価指標を開発した。開発された指標は特に点打ち課題において観察評価および各種心身機能評価との有意な相関を認めた。よって、本指標を用いた日常生活動作能力のスクリーニングの可能性が示唆された。 4.その他:Kinectと三次元動作解析装置を用いて、動作の同時評価による測定結果の信頼性についての検証実験を継続中である。また、並行して取り組んでいるバーチャルショッピングテスト(VST)を用いた高次脳機能検査開発においては、脳損傷者と健常者を対象に課題難易度の違いによる前頭葉賦活パターン、行動成績の違いについて明らかとした(Okahashi,in press)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3年計画であるが、今年は第2年度として、初年度の調査で得られた結果を基礎として、解析対象とする日常生活動作の種類をさらに増やした上で、高齢者や若年者を対象に実験を行った。また、基礎実験としてKinectを用いた解析データと三次元動作解析装置を用いた解析データとの比較を並行して行っている。Kinectを用いた評価システムの臨床応用を目指し、その利点・欠点を考慮した使用方法を検討する段階へと進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2年間を通して構築した研究結果を基礎とし、臨床現場で実用的に使用できる機器となるよう研究を進める。特に、これまで用いてきた動作課題についてはその特徴について再度検討し、各動作において運動機能・認知機能等、関連の強い機能について明らかとする。同時に学内の実験室に設置された三次元動作解析装置と安価で簡易なKinectを用いた比較実験を継続する。動作解析は日常生活で転倒の危険性を有する者や認知機能低下の疑いのある者など、あらゆる対象者に実施し、取得データの特徴や変数の有用性について検証する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では被験者の協力を得て実験を実施している。被験者の体調上の理由から当初の予定通りに実施できない回があった。その分については次年度に実施予定である。 本年度に予定していた実験の一部を次年度に実施する予定である。その際の物品運搬費、謝金として使用することを計画している。
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