研究課題/領域番号 |
24500645
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森本 かえで 神戸大学, 保健学研究科, 研究員 (40625612)
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研究分担者 |
四本 かやの 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (10294232)
橋本 健志 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60294229)
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キーワード | 社会参加 / e-ラーニング / 統合失調症 |
研究概要 |
1. 研究目的:本研究は、就労を目指す精神障害者へのパソコン利用支援策を構築する基盤として、ネットワーク上で公開し広く社会的検証を求めることができるパソコン技能e-ラーニングプログラムを研究開発することを目指す。そこで平成24年度より25年度まで、e-ラーニング開発の足がかりとしてまず研究代表者が開発した統合失調症者向けWord2003学習テキスト(神大テキスト)の学習効果の確認を行った。統合失調症者に対しパソコン講座を行い、市販の学習テキストを用いた場合と比較することで学習効果を確認した。Word2003神大テキストをWord2010に改変したものを基にした、e-ラーニングシステム(Word2010 利用)の開発を行う。 2. 方法: 対象者は兵庫県内の統合失調症者24名で、確認が終了している。無作為に2 群に分け、一方には開発した神大テキストを、もう一方には市販の学習テキストを用いWord2003を学んでもらった。学習方法は自習形式の講座とし、神戸市総合福祉センターと芦屋保健センターにて各人合計10 回程度実施した。講座の前後には学習効果を計測するためPC操作技能テストを行いテキストの有用性の確認、また学習中の手元を撮影するカメラ、テキストを撮影するカメラ、操作中の画面録画の3つで学習進捗度を計測した。計測したデータを元に行動コーディングシステムを用い以下のように分析している。 1テキスト学習効果の定量的分析:PC操作技能テストの得点変化、学習進捗の速さを統計学的に分析し学習効果を検討した。 2テキスト学習効果の定性的分析: 行動コーディング分析から得られた結果を基に統合失調症者向けへの神大テキストの改変とe-ラーニング構築への学習設計のコンテンツを確認した。平成25年11月の確認の結果、統計的に有意な学習効果が認められたとは言えないが神大テキストに学習効果があることは認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度は、神大テキストの学習効果確認の完了とe-ラーニングシステム開発へ向けて、神大版テキストのWord2003神大テキストをWord2010用に改変したテキストの学習設計のコンテンツの確認のみしかできなかった。これはe-ラーニングの学習設計に時間がかかったためで、e-ラーニングシステム開発が後ろ倒しになっている。
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今後の研究の推進方策 |
25年度で得られた研究結果をもとにe-ラーニングシステム開発をすでにすすめている。統合失調症者にとって学びやすいシステムの開発を継続中である。開発は以下の手順で行っている。 1カリキュラムの決定:神大テキストを作成した際のノウハウを基に、カリキュラムを決定する。不要な情報や大量の情報は統合失調症者に混乱を起こすため、実際にWord2010を扱う上で必要な部分のみのカリキュラムとする。統合失調症のために学習することが苦手になっている人も継続的に受講できるようにする、そのために単元の順番も、混乱の起こりにくい順 になるよう配慮する。また、各単元の途中でフォローを組み込んでいく。単元の最後に達成感を味わえるように簡単なカリキュラムテストを設けることで、どこまで成長しているかを実感してもらう。 2インターフェースや音声案内の設計:研究代表者の先行研究より、統合失調症者がどのような設計であれば学びやすいかの検討を行い、その結果を基に設計する。具体的には、小項目の説明ごとに毎回実際に操作してもらう、説明画面はほぼ全画面表示にする、次の項目に進める案内をわかりやすくする、バックログ機能を付加する、音声案内アドバイザーとキャラクターを使用する。3.e-ラーニングβ版ができあがり次第、実環境でのベータテストを統合失調症者対象に行なう。4Q&A サービスの設置: Q&A サービスを設置し、受講者へのサポート体制を確立する。 5完成したe-ラーニングプログラムの設置:完成したプログラムは、神戸大学で管理・運用を行なう。インターネットを使用すること で、受講者はどこにいてもe-ラーニングプログラムを利用することが可能となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
e-ラーニングの学習設計に時間がかかったためで、e-ラーニングシステム開発が後ろ倒しになっている。 26年度に統合失調症のためのe-ラーニングを完成させる予定
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