研究課題/領域番号 |
24500658
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
川澄 正史 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (40177689)
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研究分担者 |
小山 裕徳 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (00120113)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 健康・福祉工学 / 生体機能評価 |
研究概要 |
高齢者の転倒が社会的問題である.高齢者の転倒は要介護要因の上位にあり,高齢者医療費,介護費用等の高騰を引き起こすなどの問題がある.高齢者の転倒予防には身体機能の観点からは,姿勢制御能の維持向上が重要である.そこで本研究では,姿勢制御能と下肢機能の評価指標の検討を行うことを目的とする. 高齢者の転倒予防には,身体機能の観点からは姿勢制御能,下肢筋力,歩行機能の3要素が重要と考えられる.しかし,これらを定量的かつ転倒リスクを精度よく抽出する手法は開発されていない.本研究では,この中でも姿勢制御能に着目している. 姿勢制御能の解析は,足圧中心(Center of pressure :COP)を用いて議論される.COPを用いた研究の課題は,①COPの移動距離や移動の面積のみでは対象者の姿勢制御能を十分に評価することが難しいこと,②据え置き型の重心動揺計は高価で特定の対象者にしか利用できないこと,③COPに寄与する因子は様々であり,運動力学的にCOPのみで姿勢制御能を議論することに無理がある,④運動などの介入を行うことで姿勢制御能が改善する場合,これらを適切に評価可能な指標が存在しないことなどが挙げられる. そこで本研究では,足圧分布計測装置と小型姿勢制御能計測装置を試作して①~④の問題に取り組む.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
姿勢制御能の解析に足圧中心(Center of pressure :COP)を用いる場合,COPの移動距離や移動の面積のみでは対象者の姿勢制御能を十分に評価することが難しい,という問題がある. この課題に取り組むために本研究では,a.静止立位時の姿勢制御能についてSDA法(Stabilogram diffusion analysis)を用いて解析している.SDA法はCOPの制御の様子を検証できる.具体的な実験方法は,開眼および閉眼状態において静止立位を1分間弱だけ保たせ,その間のCOPを計測し解析する.用いる計測器は,据え置き型の重心動揺計(足圧分布計測装置)とした.この際,対象者の特性を把握するために,下肢筋力,歩行機能,足部の状態等を計測・評価した. 以上のように,本計測にかかわるシステムの改良、および実際の計測と解析を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
高齢者の転倒リスク向上の実際的な要素の抽出とSDA 法を合わせた定量的姿勢制御能評価,および姿勢制御能と下肢機能の維持・向上に関わるパラメータ抽出について研究を推進する. 足圧中心(Center of pressure :COP)の計測に用いる据え置き型の重心動揺計は,特定の対象者にしか利用できないこと,また高価な計測器である.一般的な使用を視野に入れると簡便な計測器が求められる.この小型姿勢制御能計測装置の試作も進める.本装置と据え置き型の装置の比較を行い,実用に耐えうることを検証する. さらに,フィールドで実用・実現可能な姿勢制御能評価および定量的転倒リスク評価指標の構築を並行して進める.介入の現場では,計測直後に解析を実施するマンパワーも時間もない.そこで,介入現場で簡単に誰でも使える転倒リスク評価システムを開発する.このために計測機器にはスマートホンやNEXUS 7などの小型の端末とBluetoothで通信が可能な機能を持たせる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
使用金額と使用計画は以下の通り. 使用金額:直接経費90万円,繰り越し443,272円 使用計画:消耗品70万円(上欄記載の姿勢制御能計測装置の試作にかかわる機器,機材,部品等.通信機能構築にかかわる物品,周辺機器,ケーブル,ソフトウェア等).旅費20万円(学会発表,調査出張旅費).謝金20万円(実験協力者への謝金).論文投稿料20万円
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