研究課題
頸椎損傷やALSなどの重度障がい者は上・下肢共に不自由な場合が多いため,電動車椅子や種々の福祉機器の操作にまで不自由さを伴う.また,障がい者用の支援機器や操作装置は数多く開発されているが,上記の様な方々が容易に操作できる機器は殆どない.そこで,重度障がい者においても随意的な機能として温存されやすい「舌運動」を利用し,口腔内に設置したリモコンやジョイスティックを用いて,電動車椅子やPCの操作,各種環境機器の操作を行うための「口腔・舌運動による総合型操作装置“ItoAS”」を開発目指している.平成24年度は,口唇で軽く咥え,舌先で小型のスティック部分を操作する「口唇ジョイスティック」の開発を行い,その操作性について検討を行った.「口唇ジョイスティック」を用いて市販の電動車椅子の運転操作を行い,大学内に規定した簡易コースを走行する際の所要時間を計測したところ,通常のジョイスティックと比較して39.7%の増加に留まった.この結果から,開発した「口唇ジョイスティック」の有用性を示した.平成25年度は,口腔内に設置し,舌で操作する「口腔内リモコン」の開発も併せて行った.ここで,従来の押しボタン式口腔リモコンに対して,操作部に小型のジョイスティックを利用することで操作性の向上が図れると考え,スティック型口腔内リモコン(5号機)の制作を行った.さらに,平成26年度はスティック式口腔内リモコン(5号機)の改善課題であった,スティック部の小型化を目的として,十字型スティック式口腔内リモコン(6号機)を開発した.本システムの有効性を確認するために,当該リモコン(6号機)を用いて市販の電動車椅子で規定した簡易コースを走行する所要時間を測定した.当該リモコン(6号機)を舌で操作した平均所要時間は指での操作と比較して約20%の増加に留ったことから開発した口腔内リモコンの操作性の高さを示唆した.
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The proceedings of the 7th World Congress of Biomechanics
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第89回日本医療機器学会大会 講演論文集
巻: Vol.84, No.2 ページ: 278-279
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巻: Vol.27th ページ: 587-588
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巻: Vol.27, No.12 ページ: 12-17