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2013 年度 実施状況報告書

血中酸素飽和度測定のための超薄型センサーヘッドシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24500661
研究機関帝京科学大学

研究代表者

内田 恭敬  帝京科学大学, 生命環境学部, 教授 (80134823)

研究分担者 上野 和良  芝浦工業大学, 工学部, 教授 (10433765)
木暮 嘉明  帝京科学大学, その他部局等, 名誉教授 (20016124)
舩山 朋子  帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (20460389)
キーワードゲルマニウムセンサー / フレキシブル基板 / めっき法 / 脳血流量 / YES/NO判定 / 多変量解析 / ALS / 環境制御装置
研究概要

自作のヘモグロビン測定装置の試作結果をもとにして市販のNIRS法を用いた脳血流測定装置に自作の聴覚フィードバック装置を組み込んだシステムを構築して脳血流量の測定を行った。このシステムを用いて、被験者29人の安静時およびタスク時における酸化ヘモグロビン量の変化を測定及び解析してYES/NO判定の方法について検討した。測定結果のうちヘモグロビン量の時間スペクトルのフーリエ解析とタスクによる脈拍の変化や低周波部分の変動振幅の変化を中心にした解析が夕刻であることが分かった。 さらに、タスク時間を変化させた実験により、聴覚フィードバックの有効性が観測された。また、聴覚フィードバックは5秒とという短い時間でも生体に変化を与えることがわかり、YES/NO判定装置の判定時間短縮・精度向上に貢献できることが分かった。周波数スペクトルの成分や最小二乗法による酸化ヘモグロビンの変化も含めた多変量解析を行うことにより、今後さらなるYES/NO判定装置の精度向上が期待できることが分かった。これらの成果を研究会で報告した。
めっきゲルマニウム膜中に存在する酸素の低減のため、本研究では空気よりも重いアルゴンをテフロンチューブにより流量制御してメッキ液中に導入して、バブリングすることによりメッキ液上部にアルゴンでふたをすることでこの問題の解決を図った。光電子分光法を用いたゲルマニウム膜中の酸素測定の結果、膜中の酸素濃度を装置の分解能程度の1%以下まで低減できることが分かった。フレキシブル基板として三菱化成製のネオプリムを用いてめっき法によりゲルマニウム薄膜が堆積できることも確認した。これらの成果を学会で発表した。電気特性ではp型になることが判明しており、新たなドーピング法を試みている。また、めっき時に必要不可欠な銅薄膜層を用いた低温で結晶化が起こることも確認しており結晶性のX線回折法やRAMAM測定により結晶性の評価を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

データ解析に関して健常者への測定及び解析は予定通り進んでいるが、ALS患者への応用は、研究に協力可能な対象者を見つけるのが難しい。さらに、本研究で用いるシステムの有効性を確認するためには、ALS患者の進行状況依存性が高いので、病状がどのレベルまで進行したかを見極め、残存機能のとの関連を予想して被験者を選び、実験協力への同意を得ることが最重要である。また、被験者への負担を十分考慮する必要があり総合的な判断が必要となっている。このため本研究に協力していただいている病院関係者のアドバイスをもとに実験の準備を進めざるを得ないことが検証部分での若干の遅れの原因である。
センサーの開発では導電性制御の問題があり、不純物ドーピング時に使用予定のエキシマレーザが故障中であることが大きな問題となった。また、ゲルマニウムめっき時に基板上に形成している銅薄膜の存在がゲルマニウム薄膜の基本的な物性データの測定に関して通常の構造で測定を行うことが難しく、膜質向上のための最適化に多くの時間を必要としていることが大きな原因であると考えられる。

今後の研究の推進方策

センサーの開発での導電性制御の問題は、新たなドーピング法の現在考案して実証実験を行っている状況である。新しいドーピングニッケル及びゲルマニウム薄膜層の繰り返し形成中に不純分源の銅を導入するという新しい法に関しては、これと似たニッケルとゲルマニウムを反応させた膜中でのP原子の挙動についての他研究機関からの報告をもとに考えると有効な方法であると考えている。
また、ゲルマニウムめっき時に応用上の制約となっている銅薄膜については、この銅薄膜を利用してフレキシブル基板の耐熱温度以下の200℃程度で結晶性の向上が見込める方法を見出し、現在実験中である。以上の2点が改善できれば、すでに測定のための基本的なシステムは既存の電子デバイスを組み合わせた測定システムを構築してあるので本センサーを用いたシステムの有効性を示せると考えている。
基礎的なデータ分析では、健常者に対して統計処理ができる程度に十分な数のデータが得られ、分析の方向性が判明しており人選さえ終われば、測定及び分析は容易であると考えている。
以上の結果を組み合わせれば目的を達成できると考えられる。

次年度の研究費の使用計画

使用予定であったエキシマレーザの故障により、必要と考えていたエキシマレーザ用の高価なハロゲンガスや不活性ガスの発注を行わなかったことと、エキシマレーザに代わる手段として急遽の高出力半導体レーザシステムを購入しようとしたが、高価であったため予算が不足していたこと及び納期の問題があったためには購入できなかった。
エキシマレーザを用いることとを再検討し、半導体レーザの購入資金として使用し、不純物制御の方法を確立する一つの手段としてのシステムを構築してセンサー及び測定システムの製作を行うこととする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 重度機能障害者のYes/No判定向上のための脳血流量解析2013

    • 著者名/発表者名
      木暮嘉明、内田恭敬、舩山朋子、本間信生
    • 雑誌名

      ヒューマンインターフェース学会研究報告集SIG-HC-08

      巻: 15 ページ: 5-8

  • [雑誌論文] 重度運動機能障害者の意思伝達向上を目的とした脳血流測定法の検討2013

    • 著者名/発表者名
      舩山朋子、内田恭敬、本間信生、木暮嘉明
    • 雑誌名

      ヒューマンインターフェース学会研究報告集SIG-DE-15

      巻: 15 ページ: 1-4

  • [学会発表] めっき法により堆積したGe 膜の評価

    • 著者名/発表者名
      内田恭敬,白濱大援,中島基博,舩山朋子,木暮嘉明,上野和良
    • 学会等名
      第74 回応用物理学会秋季学術講演会、17p-P11-1
    • 発表場所
      京都
  • [学会発表] Evaluation of electrodeposited Germanium thin films

    • 著者名/発表者名
      Y. Uchida, T. Funayama, Y. Kogure, K. Ueno
    • 学会等名
      第23回日本MRS年次大会、T-P10-025
    • 発表場所
      横浜

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公開日: 2015-05-28  

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