研究概要 |
本研究では,靴底に配置した圧力分布センサで歩行時の足部重心バランスを測定する機能と直感的に歩行バランスを足裏部に提示する機能を有する高機能靴を試作した.そして,要素加圧部の違いにより,歩行動作のリハビリ(足部の姿勢調整)或は歩行訓練(理想的な歩行バランスの足裏部への提示)が実現できることを示した.具体的には,中敷部を4分割し,各要素の減圧部位の組み合わせにより、足部姿勢がどのように変化するのかを明らかにした.さらに,足裏部負荷状態をリアルタイムにタッチパネル液晶端末装置及びヘッドマウントディスプレイ装置にグラフィック表示させるために,歩行状態提示用Androidアプリケーションを用いて色相変化により歩行状態を携帯用タブレット装置に提示させた.このとき,通信方法としては, Android端末と通信することによりタブレット画面に足部圧力分布を表示するために,今回新たにWi-Fi規格のWiPortという通信モジュールを用いた通信方法を可能とした.また, WiPort用変換基盤を製作したことにより, 従来のXBeeを用いた通信と, Wi-Fiを用いた通信のどちらも可能となった. そして, Android用提示アプリケーションを作成したことにより, Wi-Fi環境が整っていれば,Android端末で歩行状態を色相変化で視覚的提示が可能となった. さらに,開発した高機能靴を使用した場合の生体への負担を明らかにするため,歩行シミュレータ用ロボット装置を製作した.そして,試作した高機能靴をロボット装置足部に装着し,歩行動作実験を行った.その結果,人間の歩行と同様な足裏部圧力分布変化が得られ,試作した歩行シミュレータ用ロボット装置の有効性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歩行時における足裏部圧力分布測定結果をタブレットなどのAndroid端末にグラフィックする目的に対し,色相変化をグラフィック表示させるAndroidアプリケーションを新たに開発した.具体的には,歩行状態を表示するディスプレイとして, Android搭載のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)とタブレット端末を用いるため, JAVA言語を基本とするAndroidのアプリケーションの開発を行った.さらに,WiPortの使用及びWiPort用変換基盤の製作により,Wi-Fi環境が整っていれば,Android端末で歩行状態を色相変化で視覚的提示が可能となった.これにより,リアルタイムで端末装置の画面に足部バランスを表示するシステム構築のベースが完成したことになる.今後は,足部バランスの色相変化をヘッドマウントディスプレイに表示させ,Android端末からの入力信号により,高機能靴中敷に配置した要素の内圧を制御することの有効性を実験により検証する.これは,当初の計画通りである. また,歩行シミュレータ用ロボット装置に関しては,各関節部駆動用アクチュエータの見直し及び足首部構造の改良を行い,より人間の歩行に近い動きを実現できるようにした.また,足の甲部に3軸ジャイロセンサを配置し,歩行時の足部の動きを検出できるようにした.今後は,様々な歩行動作を実現させ,足各部の挙動を本装置により解析する.このように,歩行シミュレータ用ロボット装置に関しては,ほぼ計画通りに進んでいる.
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