研究課題/領域番号 |
24500671
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
清田 公保 熊本高等専門学校, 人間情報システム工学科, 教授 (80186353)
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研究分担者 |
合志 和洋 熊本高等専門学校, 人間情報システム工学科, 准教授 (20303711)
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キーワード | 視覚障碍者 / 就業支援 / 電子カルテ / ペン入力 / 改ざん防止 |
研究概要 |
平成25年度は、本研究の基礎技術となる文字認識エンジンを改良し、成りすましや理療情報の不正な改ざんを防止し、電子カルテの運用面における情報セキュリティを強化するための個人認証技術を新たに提案する。 ここでは、電子カルテシステムの署名認証技術の新手法の実装を実現する。従来の署名認識技術では、署名全体において個々のオンライン情報(筆順、筆圧、ペンの傾きなど)をユーザ登録時に記録しておいた参照パタンと時系列に照合する方法がとられるが、視覚 障碍者の筆記文字は毎回変化しやすいために、自署の場合でも本人と確認されない場合が多い。これに対して、提案する個人認証では、連続筆記で記入された署名を、1文字ずつ、切り出す技術を用いて単文字毎に類似度を計算し、参照パタンと似ている割合に応じて加点する手法を用いる。 この手法は、一般に用いられる観測空間における参照パタンと入力パタンの類似度計算では致命的な、視覚障碍者にみられる冗長ストロークや欠如ストロークなどの突発的に生じる大きな変形に影響を受けず、類似性の高い部分に対して評価値を与えることで、筆者認識を安定に行えるというロバストな個人認証を実現できる。さらに、実際の筆記時の運筆情報と入力日時を同期させて電子カルテ情報とリンクさせることにより、事後の書き込みや修正などの記録が自動的に付加される機能を導入することで、理療現場でカルテの改ざん防止を実現させるシステムを構築する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主研究課題となる改ざん防止のための事後の書き込みや修正などの改定記録をファイルに自動保存する機能は実現できた。 もうひとつの課題である情報セキュリティを強化するための個人認証技術として視覚障碍者によるペン入力による筆記サインによるログイン機能については、入力者の文字の事前登録と利用時のマッチングがかなり変形があると(視覚障害によって、字形の再現性が異なる場合)、本人が入力しても、別の人と誤認識されて、ログインが出来ない場合が、生じている。これらの問題については、どの程度の変形までを許容するかがまだ、明確となっていないために、最終年度も継続して認証評価部分を研究することとする。
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今後の研究の推進方策 |
全く別のユーザを、誤ってログインさせることはないが、本人が何度か筆記をしないとシステムに入れないというのは、利用者側から問題となる。このために、現在は、かなり自由度の高い筆記を事前筆記辞書として許容しているため、何度かサイン登録時に筆記してもらい、これらの平均値や、安定している特徴を用いた、個人認証システムに改良することで、安定した手書きサイン入力が実現できると考えているので、最終年度でこの問題点を解決していく予定である。また、検索キーを用いたファイルの検索機能など、これまで、十分でなかった部分の追加機能などを盛り込み実用に供するシステムに改良していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年3月中旬に、科研費テーマに対する成果発表を米国サンディエゴで開催されたCSUN2014(障害と技術に関する国際会議)にて発表と情報収集を行った。この際、旅費等で 米ドルによる支払い等があったため、外貨変換による余剰が生じたため。 最終年度における旅費の分として使用する予定である。
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