研究課題/領域番号 |
24500676
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
福原 知宏 独立行政法人産業技術総合研究所, サービス工学研究センター, 産総研特別研究員 (50436581)
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研究分担者 |
三輪 洋靖 独立行政法人産業技術総合研究所, デジタルヒューマン工学研究センター, 主任研究員 (30367073)
西村 拓一 独立行政法人産業技術総合研究所, サービス工学研究センター, サービスプロセスモデリング研究チーム長 (80357722)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高齢者介護 / データマイニング / 情報推薦 / 知識共有 |
研究概要 |
昨年度は第1の目標として,介護施設で働く従業員が利用者やサービス提供に関する気付き情報を入力するためのインタフェース並びに気付き情報を管理するためのサーバシステム開発を進めた.システム開発に当たり,連携先の介護施設において従業員へのインタビュー調査を計5回行い,従業員が業務場面で求めるシステムの要件を抽出した.連携先の介護施設では,「申し送りノート」と呼ばれるA4版のノートを使い,利用者の健康状態や処置や介助の方法に関する気づきを従業員間で共有していることが明らかになった.このインタビューを通じて得た要件を元に,申し送り業務を支援するシステム:DANCE(Dynamic Action and kNowledge assistant for Collaborative sErvice feidlds)を開発した. DANCEの特徴は,情報推薦により従業員に申し送りの本文を推薦する点にある.システムは従業員が新たに申し送りを作成する際,部署内の他の従業員が入力した申し送りを推薦する.従業員は推薦された本文から必要とする本文を選び,必要に応じて編集することで,効率的に申し送り作成を行う. DANCEの評価として,(1)情報推薦機能による時間削減効果の検証,(2)実際の業務場面でのシステムの評価を行った.第1の実験では,申し送りノートとDANCEを比べ,DANCEを用いることで申し送り作成と確認に要する時間を約半分に短縮できることを確認した.第2の実験では,実際の業務場面でDANCEを使用してもらい,実際の業務場面でシステムを使用してもらうために,細かな使い勝手の改良が必要であることを確認した. 次年度はシステムの改良と情報推薦アルゴリズムの開発を進め,業務場面での情報推薦精度の検証を行う.また,気付き情報をマイニングのための手法開発を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・現場適応型インタフェースの開発については,昨年度,プロトタイプシステムを開発し,従業員に評価をして頂いている.従業員からは,実際の業務場面での使い勝手(例:新着の申し送りが届いた際に着信音を鳴らす.音声で特定の申し送りや利用者の情報を検索する等)に関する機能追加の要望を頂いている.今年度は,従業員から頂いた要望のうち,気付き情報の収集に関係する部分について開発を進める. ・プロトタイプシステムによる時間削減効果に関する評価実験を行い,システムの時間削減効果を確認した.具体的には,申し送りの作成と確認では,ノートを用いた場合に比べ,システムは従業員1人1日当たり59.0%の時間削減効果を有することを確認した.また,利用者に関する記録作成と確認に関しては,ノートを用いた場合に比べ,55.2%の時間削減効果を有することを確認した. ・インタビューと業務フロー調査に基づくSocial Infobox用データ収集手法の開発に当たっては,介護業務の体系化を目指し,複数の介護施設を対象とした業務フロー調査を進めている.今年度は,構築した業務体系を元に,Social Infobox用データ収集手法の開発を進める. ・気付き情報のマイニング手法の開発に関しては,昨年度の評価実験を通じて得られた気付き情報を使い,研究開発を進める. ・プロトタイプシステムによる情報推薦精度の検証は今年度と次年度で評価実験を行う.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は気付き情報マイニングの開発に向けたデータ収集とマイニング手法の開発を行う.同時に,情報推薦アルゴリズムの開発を行う.また,従業員へのインタビューを通じ,現場適応型インタフェースの開発を継続する. インタビューと業務フロー調査に基づく情報推薦精度の検証を行う. インタビューと業務フロー調査に基づくSocial Infobox用データ収集手法の開発を進める.具体的には,昨年度の評価実験で得られたデータを元に,情報発信者,受信者,内容,発信・確認時刻等の分析を行い,インタフェースを通じて従業員が効率良く気付き情報を入力できるよう,情報推薦に分析結果を反映する.また,気付き情報のマイニング手法を開発する. 従業員がシステムの情報推薦により,業務場面で適切な気付き情報を入力できるよう,業務フロー調査を通じて従業員がどの場面で入力に問題を感じるかを明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
・システムが業務場面で適切な気付き情報を推薦するための要件を探るため,従業員へのインタビュー調査を2名×3回分,計423千円(交通費270千円+日当54千円+宿泊費99千円)を計上している.また,インタビュー調査時の従業員への謝礼金として,1回3千円×4名×3回,計36千円を計上している. ・介護施設で情報推薦アルゴリズムの評価実験(2泊3日を想定)を行うための旅費1名分として,61千円(旅費30千円+日当9千円+宿泊費22千円)を計上している.また,現地で業務フロー調査を行うための旅費1名×2回分として,94千円((交通費300千円+日当6千円+宿泊費11千円)×2回)を計上している. ・気付き情報の収集とマイニングを行うための計算機として,気付き情報マイニング用サーバ1台,155千円を計上している.また,その他の諸費(計算機用消耗品(USBメモリ,無線LANルータ等))として,112千円を計上している. ・国内での研究成果発表用旅費(最大3日間を想定)として3名分,183千円を計上している.
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