研究課題
本年度は連携先介護施設である和光苑において申し送りデータに含まれる従業員の気付きに関するインタビュー調査を行った。また、従業員が申し送り業務支援システムを実際の業務の中で利用する際の課題についてインタビュー調査を行い、システム改良を行った。本年度の研究成果として、国内雑誌論文2件、国際会議発表5件、国内研究会発表5件、図書2件の発表を行った。このうち、申し送り業務支援システム(DANCE)の導入効果を検証した人工知能学会論文では、DANCEにより、申し送り業務時間が短縮されることを報告した。評価実験として、和光苑の介護福祉士および看護師の協力を得て、記録作成と確認についてDANCEとノートを用いた場合との間で作業時間を比較した。この結果、業務遂行情報の作成と確認に関してはノートに比べ、従業員1人1日当たり55.2%(64.0s)の時間削減効果を確認した。また、自由記述の申し送り文の作成と確認では、従業員1人1日当たり59.0%(200s)の時間削減効果を確認した。従業員数20名の部署を想定した時間削減効果を試算した結果、ノートに比べ、業務遂行情報では記録1件あたり55.8%(681s)の時間削減が、申し送りでは77.0%(1,590s)の時間削減効果が見込まれることを確認した。次年度は情報推薦アルゴリズムの開発と精度検証、ならびに気付き情報マイニング技術の開発を行う。
2: おおむね順調に進展している
・現場適応型インタフェースの開発については本年度までに基盤となるシステム開発を行っている。次年度は情報推薦アルゴリズムの開発と精度検証を行う。・インタビューと業務フロー調査に基づくSocial Infobox用データ収集手法の開発については、本年度は従業員へのインタビューを行い、どのような機能や画面レイアウトであれば、従業員が申し送りデータを入力し、確認し易いか、調査を行っている。・インタビューと業務フロー調査に基づく情報推薦精度の検証については、本年度は実施できなかったが、本年度から和光苑にてDANCEシステムの試験運用が始まっており、継続的にデータが得られるようになっていることから、次年度に精度検証を行う。・ブートストラップ型Social Infobox用データ構築技術の開発については、申し送りデータが蓄積され始めていることから、技術開発に向けての準備が整った状況である。・気付き情報マイニング技術の開発については、申し送りデータが蓄積されつつあることから、次年度、本格的な開発が可能となった。
・本年度の気付き情報に関するインタビュー調査の結果を受け、次年度は従業員が手軽に気付き情報を入力し確認するための機能(気付き情報入力・表示機能)の開発と効果検証を行う。・実際の業務の中で情報推薦がどのように利用されているか、インタビュー調査および行動観察調査を行う。・情報推薦アルゴリズムの開発を行い、精度検証を行う。・申し送りデータから気付き情報をマイニングし、その結果を可視化する機能の開発を行う。
本年度は連携先介護施設との間での打ち合わせにSkypeを使用した結果、旅費が抑制された。また、ブートストラップ型Social Infobox用データ構築技術の開発および気付き情報マイニング技術の開発が次年度にずれ込んだため、予算の使用が抑制された。次年度の使用額として以下を計画している(額の順から5項目について記載)。(1)従業員へのインタビュー調査旅費(3名分):1,148千円、(2)気付き情報入力・表示機能開発費:750千円、(3)国際会議発表旅費および参加費(2名分):705千円、(4)国内研究会成果発表費:283千円、(5)研究成果投稿料:100千円。
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人工知能学会論文誌
巻: 28 ページ: 468-479
10.1527/tjsai.28.468
人工知能学会誌
巻: 28 ページ: 918-923
http://service-design.azurewebsites.net/tool/tool-421/