研究課題
最終年度は申し送りデータに対してテキストマイニングを適用し、介護施設従業員との連携のもと、改善活動の支援を行った。本課題を通じて開発した申し送り業務支援システム:DANCEに蓄積された申し送りデータにテキストマイニングを適用し、その結果をグラフ(共起語ネットワーク)として可視化し、従業員に提示した。この結果、現場における課題が発見され、改善案の策定と実施が行われた。具体的には、施設入所者の家族が入所者に食事をさせており、誤嚥に関する共起語が抽出された。この結果、家族が入所者に食事を提供する際、誤嚥にならないよう、車椅子のリクライニングを上げる処置を取る改善が行われた。本成果はNHKのニュース番組:おはよう日本(2014年6月14日放送)、およびNHK国際ニュース:NHK world(7月4日放送、"I.T. brings better care")で取り上げられた。申し送りデータのマイニングと平行して、申し送りに含まれる従業員の気付きに関する分析を行った。申し送りデータを分析した結果、5つの分類(注意/指摘、連絡/伝達、依頼/要望、確認/相談、その他)に分けられることが分かった。この分類について従業員へのインタビューを行い、分類の妥当性を確認した。更に、従業員へのインタビューから、頻繁に申し送りを行う従業員は、そうでない従業員に比べ、暗黙的な意図を持って申し送りを作成していることが分かった。このことから、従業員の申し送り作成時の暗黙的な意図を明示化するため、ラベルを用いた意図表明機能(スタンプ機能)の仕様を作成し、試作システムを開発した。本成果は人間工学会論文誌に投稿され、査読を経て、採録された。残された課題として、データマイニングと可視化の自動化がある。今回実施した改善では、探索的にデータのマイニングと可視化を行ったが、今後、現場の従業員がより迅速に改善活動を行えるよう、データのマイニングと可視化を自動化する必要がある。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
日本機械学会論文集
巻: 81 ページ: 14-00207
http://doi.org/10.1299/transjsme.14-00207
人間工学
巻: 51 ページ: 103-114
https://www.youtube.com/watch?v=GuBsXtaYKZ0&list=PLpRkUCb8X__n3DB1cGaPe3G0kvqgJ9i-m