• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

系統的な身体イメージの変化を引き起こす感覚入力の分析

研究課題

研究課題/領域番号 24500679
研究機関鳴門教育大学

研究代表者

乾 信之  鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (30144009)

キーワード身体イメージ / 幻肢 / 固有感覚 / 視覚 / 感覚の可塑性 / 仮想環境
研究概要

1.身体イメージへの対象物の参入:先行研究によると,肘を極端な伸展位で固定し,上腕部にカフ圧を加えると,肘は屈曲方向に変化するように知覚される。したがって,手に棒を固定すると,肘の知覚変化と伴に,手の棒も一緒に屈曲方向へ動くように知覚されるかどうか検討した。10名の被験者は閉眼で仰臥位をとり,右手に棒を三角巾で固定した。被験者は右上腕部にカフ圧を加えられ,右の手首と肘の位置について棒をもった左の手と腕で示した。被験者はまた右手に棒を感じるかどうかを報告した。その結果,手首と肘が加圧後10分から40分の間屈曲方向へ動いたように知覚された。同時に手に固定された棒も加圧後10分から20分の間屈曲方向へ動いたように知覚された。棒をもった手の移動は右手首と肘の知覚変化の開始と手の触覚の完全な消失の間にみられた。この観察は手と対象物の間の新たな錯覚を示唆している。
2.仮想環境における腕の位置感覚に与える視覚と固有感覚の可塑性:本研究はヘッド・マウント・ディスプレイを付けた10名の被験者によって腕の位置の視覚と固有感覚の重みづけを検討した。伸展した右腕を撮影するために,右肩峰上にカメラを固定した。被験者の右腕が体幹から水平に伸展しているようにディスプレイ上に30分間提示されている間,実際の右腕が外転方向に0°,30°,60°になるように固定された。偽と実際の腕の位置の差が増加するにつれて,知覚される腕の位置は偽の腕に近づき,視覚に対する固有感覚の適応を示した。その差が90°に保持された時,知覚される腕の位置は15分まで偽の腕の位置まで徐々に接近し,その後,偽と実際の位置の間の値で安定した。驚いたことに,偽と実際の腕の位置の差が90°の時,ディスプレイ上の腕の位置は実際の腕の位置に時間経過に伴ってゆっくりと接近するように知覚された。これらの結果は固有感覚に対する視覚の適応を示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は3つの実験を行い,3つの原著論文がExperimental Brain Researchに掲載された。
今年は2つの実験を行い,2つの原著論文を投稿し,現在査読中である。そのうち,1つの実験は予備的報告として所属大学の研究紀要に掲載された。

今後の研究の推進方策

1.仮想環境における手首の位置感覚に与える固有感覚遮断の影響:ヘッド・マウント・ディスプレイによって一つの偽の右手首の視覚情報を提示し,右上腕部にカフ圧を加えて固有感覚を遮断すると,実際の手首の位置を再生する時(視覚の可塑性)と偽の手首の位置の再生する時(固有感覚の可塑性)にどのような変化が生じるか検討する。
2.仮想環境における肘の位置感覚に与える視覚と固有感覚の可塑性:今年度はヘッド・マウント・ディスプレイによって一つの偽の腕の視覚情報を提示し,実際の腕の位置を3通りに変化された。次年度は逆にディスプレイ上の肘の視覚情報を3通りに変化され,実際の肘の位置を一定にして視覚と固有感覚の可塑性を検討する。

次年度の研究費の使用計画

本研究では関節角度が主要な測度であり,光学式トラッキングシステムを用いて,関節角度を計測している。今年度はこのシステムの精度を上げるために,周辺機器をグレードアップする計画をもっていたが,既存のシステムと周辺機器の整合性がなく,グレードアップできず,多くの予算を残してしまった。
次年度はもう一度,既存のシステムの精度を上げることを模索するとともに,筋電計の購入を計画している。
その他の研究経費として計上するものは,3つの学会参加のための旅費,論文作成に関わる経費である。論文に関しては英文校正,投稿料,掲載料を計上している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 仮想環境の腕の位置に与える視覚と固有感覚の可塑性2014

    • 著者名/発表者名
      乾 信之,升本絢也
    • 雑誌名

      鳴門教育大学研究紀要

      巻: 29 ページ: 360-367

  • [学会発表] 体性感覚入力の消失に伴って棒をもった実験的幻肢は動く

    • 著者名/発表者名
      乾 信之
    • 学会等名
      第36回日本神経科学大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府京都市)
  • [学会発表] 実験的幻肢の位置感覚に与える視覚の影響

    • 著者名/発表者名
      乾 信之
    • 学会等名
      第68回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      学術総合センター(東京都千代田区)
  • [学会発表] 仮想環境の腕の位置に与える視覚と固有感覚の適応

    • 著者名/発表者名
      乾 信之
    • 学会等名
      日本スポーツ心理学会第40回大会
    • 発表場所
      日本体育大学東京世田谷キャンバス(東京都世田谷区)

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi