研究課題/領域番号 |
24500680
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢美術工芸大学 |
研究代表者 |
青木 宏樹 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 講師 (90622564)
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研究分担者 |
出村 慎一 金沢大学, 人間科学系, 教授 (20155485)
春日 晃章 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30343726)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 幼児 / 動的平衡性 / 発達 |
研究概要 |
年齢および個人の能力に応じた幼児の動的平衡性を評価する簡便で合理的なテストを作成するために,平成24年度は,安全性の高い障害物の検討および歩行テストの試行間信頼性の検討を行った。 4歳男児52名および女児57名,5歳男児89名および女児99名,6歳男児80名および女児90名の計467名を対象に,床に引かれた長さ200cm,幅10cmの枠内上あるいは平均台(高さ30cm)の中間地点に高さの異なる5cm(障害物低)または10cm(障害物高)障害物(奥行き11.5cm,幅23.5cm)を設置し,障害物無を含む3条件における歩行時間を2回ずつ測定した。各歩行テストの試行間信頼性を検討するために,級内相関係数(Intraclass correlation coefficients;以下,ICC)を算出した。 本研究は,歩行テストの障害物として市販のティッシュ箱を選択した。テスト中に誤って障害物を踏む幼児もいたが,誰も怪我をしなかったために,有効と判断した。各歩行テストのICCは,4歳男児が0.66~0.85,4歳女児が0.75~0.93,5歳男児が0.65~0.91,5歳女児が0.69~0.90,6歳男児が0.62~0.88,6歳女児が0.63~0.87であった。先行研究では,ICC が0.41~0.60 でmoderate,0.61~0.80でsubstantial,0.81~1.00 でalmost perfectと定義されている。本研究の歩行テストのICCは,男女,条件および年齢の違いに関わらず0.6以上であった。本研究の歩行テストは4歳~6歳までの幼児を対象とした場合,中程度以上の試行間信頼性となることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,2歳児,3歳児,4歳児,5歳児および6歳児を対象に,枠内往復歩行,障害物設置枠内往復歩行,平均台往復歩行および障害物設置平均台往復歩行テスト時の安全性の高い障害物の検討,全体的信頼性および性差を確認することを大きな目的としていた。歩行テスト時の安全性の高い障害物の決定,各テストの試行間信頼性およびその性差は,2歳児や3歳児では確認することができなかったが,4歳~6歳までは確認することができたため,申請時の研究計画は概ね達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は,昨年度に得られた測定データを細かく分析する。そのデータ処理に関し,大学院生を雇用する予定である。次年度は2歳児や3歳児を対象に,床に引かれた長さ200cm,幅10cmの枠内上あるいは平均台(高さ30cm)の中間地点に高さの異なる5cm(障害物低)または10cm(障害物高)障害物(奥行き11.5cm,幅23.5cm)を設置し,障害物無を含む3条件における歩行時間を測定し,サンプル数を拡大していく予定である。今年度の測定結果の詳細およびデータ解析の結果は, 次年度行われる学会大会にて適宜発表する。学会発表は,4回を予定している。中でも,次年度の日本教育医学会大会は国外(韓国)で行われるため,海外出張する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,福井県,石川県および岐阜県内の幼稚園や保育園に在園する幼児を対象に測定を考えており,そのための旅費および国内で行われる学会活動旅費および研究分担者との研究打ち合わせ旅費として,450000円を計上している。また,測定補助および測定データの統計解析補助の人件費として300000円を計上している。さらに,データ整理に必要な紙代やプリンターのトナー代等の雑費350000を計上している。以上の範囲で,予算執行することにより,平成25年度配分予算範囲内で,平成25年度の研究計画を全うすることができるものと考えている。
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