4~6歳児を対象に,障害物を設置した枠内歩行と平均台歩行の年齢差及び性差を検討した。床に引かれた長さ200cm,幅10cmの直線上(枠内歩行)あるいは平均台(平均台歩行,高さ30cm)の中間地点に高さの異なる(5cm(障害物低)または10cm(障害物高)障害物(奥行き11.5cm,幅23.5cm)を設置し,障害物無,低及び高の3条件における歩行時間を測定したデータを用いた。枠内歩行時間は,全ての障害物条件において性差が認められなかった。全ての障害物条件において男女ともに4歳前半は5及び6歳よりも,また,4歳後半は5歳後半及び6歳よりも長かった。障害物高条件では5歳前半が6歳後半よりも長く,また,4歳では障害物無条件が障害物高条件よりも短かった。平均台歩行時間は,全ての障害物条件において性差が認められなかった。また,男女とも全ての障害物条件において,4歳前半が5及び6歳よりも,4歳後半が5歳後半および6歳よりも,女児の4歳前半が4歳後半よりも長かった。障害物低条件では,男児の5歳が6歳後半よりも,女児の5歳が6歳よりも長かった。障害物高条件では,男女とも5歳前半が6歳よりも,男児の4歳前半が4歳後半よりも,5歳後半が6歳よりも長かった。4歳では障害物無条件が障害物高条件よりも短かった。枠内歩行時間は,男児の障害物無条件および低条件を除いて年齢と有意な曲線回帰が認められた。平均台歩行時間は,男女児ともに全ての障害物条件において年齢と有意な曲線回帰が認められた。 障害物の有無にかかわらず枠内歩行と平均台歩行は,男女児とも4歳は5及び6歳よりも遅く,歩行能力は,4歳以降加齢に伴い著しく発達するが,5歳後半以降はほぼ同じ速さで歩行が可能になる。また,4~6歳では前述の両歩行に性差はなく,4歳では,高さ10cmの障害物でも歩行に影響するが,5歳以降は影響しないことが明らかにされた。
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