研究課題/領域番号 |
24500691
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂本 昭裕 筑波大学, 体育系, 教授 (10251076)
|
研究分担者 |
渡邉 仁 筑波大学, 体育系, 助教 (70375476)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 野外教育 / キャンプ / 軽度発達障害 / 冒険教育 / 心理臨床 / 自己概念 |
研究概要 |
本研究の目的は、軽度発達障害児の特性と自然体験療法における効果の関連を検討し、自然体験療法がクライエントの心理的成長に及ぼす影響について明らかにすることである。そこで、平成24年度は、軽度発達障害の生徒の自然体験療法における自己概念に及ぼす影響から、その特性について検討を行った。自然体験療法プログラムは、18日~21日間に渡るプログラムであり、インテーク面接、原始的な野外生活、冒険的な活動、フォローアップキャンプを含むものであった。冒険的な活動として、マウンテンバイク、沢登り、カヌー、ロッククライミング、登山を実施した。調査対象者は、これまでにプログラムに参加したクライエント男子16名(平均13.7歳)であった。調査対象者の障害の内訳は、注意欠陥多動性障害(ADHD)、アスペルガー症候群(AS)、学習障害(LD)であった。 自己概念の調査は、自己成長性検査(梶田,1980)を用いた。自己成長性検査は、「他者のまなざし」「達成動機」「自信と自己受容」「努力主義」の4つの下位尺度から構成されている。データ収集は、プログラムの事前、事後、1か月後に実施した。その結果、クライエントの自己概念は、キャンプの前後において改善が認められた。下位尺度では、達成動機においてプログラムの前後において統計的に有意な差が認められた。しかし、努力、自信、他者のまなざしにおいては有意差は認められなかった。一般的に発達障害の青少年は、健常発達の青少年に比較して自己概念が低いことが報告されているが、本研究におけるクライエントの自己概念は、ほぼ同程度の得点を示した。また、本研究では自己概念とプログラム過程、発達障害の特徴との関連について個別の事例も検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、計画に基づいてほぼ順調に進めることができている。これまでの文献など資料収集や研究実践の蓄積から、自然体験療法プログラムの運営とデータの収集が比較的スムーズに行えていることが理由としてあげることができる。研究の調査対象となる軽度発達障害のクライエントへの十分なインフォームドコンセントなどから研究に協力的であることも理由としてあげることができる。 しかしながら、未だ軽度発達障害の生徒に関する事例は、研究の目的の1つである特性の分類を行う上で、十分であるとは言えないため、さらに被験者を確保し自然体験療法プログラムを実施することが欠かせないと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、昨年度と同様に自然体験プログラムを実践しデータの収集を行う。そのために、被験者の募集の方法について検討し、多くの協力者を得るように務めなければならない。具体的には、インターネット等のITの積極的な活用を考えている。また、被験者の募集の範囲を近隣の県以外に拡大する予定である。 昨年度は、軽度発達障害児の自己概念について量的なデータの分析から特徴を明らかにしたが、今後は、自己概念について質的な側面からもアプローチする予定である。質的なアプローチとして、風景構成法などの描画法、行動観察に基づく事例研究法を用いる。さらに、軽度発達障害の特性からクライエントを分類するための評価基準についても検討をすすめたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|