研究課題/領域番号 |
24500691
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂本 昭裕 筑波大学, 体育系, 教授 (10251076)
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研究分担者 |
渡邉 仁 筑波大学, 体育系, 助教 (70375476)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 野外教育 / キャンプ / 軽度発達障害 / 冒険教育 / 心理臨床 / 風景構成法 / 構成型 |
研究実績の概要 |
本年度は、軽度発達障害児の特性と自然体験活動における効果の関連について、描画法である風景構成法(Landscape Montage Technique)から検討した。分析の対象は、過去にプログラムに参加した軽度発達障害の生徒17名(平均年齢13.7歳、SD=1.0)が描いた風景構成法であった。風景構成法は、Pre(オリエンテーション時)、Post1(プログラム直後)、Post2(1ヶ月~6ヶ月後)に実施したものであった。 風景構成法の中学生以降に見られる構成型の特徴は、Ⅰ~Ⅲ型(自己中心的段階)はまれか、あっても非常に少なく、最も多いのはⅤ型(自我の対象把握可能な段階)で25%~50%を占め、次いでⅥ型で30%強、Ⅶ型は10%弱であるといわれている。本研究では、Ⅰ~Ⅲ型に占める割合が、59%でありきわめて低い構成段階を示し、定型発達における構成型の分布とはかなり様相が異なっていた。自我発達の観点からいえば、自分の見たまま、思ったままを描く自己中心的な自我にとどまっている者が多かった。また、Post1では、17例中6例において上位の構成型への変化が認められ、 Ⅲ型とⅣ型が増加した。しかし、質的に異なるⅤ型以上へは1例しか増えなかった。 本研究の発達障害児の風景構成法は、構成型に示された通り、同じ構成から抜け出ることが難しい事例が多かった。また、描画自体の内容も定型の発達レヴェルからみればかなり拙いものであった。しかしながら低い構成段階(Ⅰ~Ⅲ型)であっても、描画の内容が変化してゆく事例も数例認められた。このような事例においては、プログラム後の描画において、風景の内容が微妙に変化していくことが示された。特に、それぞれのアイテムが関連をもって構成されてゆく様子が理解された。これらは、クライエントの世界形成(世界の見えや世界との関わり)の進展(あくまでも平面的な世界形成であるが)を示していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集及びデータ分析は、研究計画の通り行っており、おおむね順調に進展している。しかしながら、分析されたデータの考察において若干の課題と疑問点があり、検証作業を重ねており、そのため論述がやや遅れている。従って論文として公表することにおいては、十分ではないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究は最終年度をむかえるので、これまで検証してきた軽度発達障害の子どもの特性と自己成長の関連についてさらに深く検討し、学会における発表と論文として投稿することを精力的に実施する予定である。
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