研究課題/領域番号 |
24500693
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
吉田 伊津美 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30335955)
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キーワード | 基本的な動き / 幼児 / 低学年 / 運動遊び / 体育 / 低学年 |
研究概要 |
平成25年度は前年度に抽出した「運動遊びの中に見られる動き」をもとに運動遊びの見直し検討を引き続き行ない、保育での実践を試みた(目的3、4)。出現頻度の少ない動きの経験を取り入れた遊びの提案、動きを引き出すための場の工夫などを行った。年間6回の園内研究会等幼稚園教諭と本研究者とが協議する過程を通して、動きの経験を意図した活動や環境の構成が積極的にみられるようになった。前年度より継続して行った幼児の動きの評価では、前年度から出現頻度が高くなった動きが増えた一方で、少なくなった動きも若干見られた。運動能力検査では、前年度全国平均よりやや下回っていた両足連続跳び越しに改善が見られ、全体的には全国平均と同程度となった。これらは活動の工夫を行った成果であると思われる。 一方、身体活動量計により活動量(歩数)を計測したところ、歩数の多い幼児と少ない幼児との違いは平日で2倍、休日で3倍もあることが明らかとなった。さらに併設校の小学生1年生の運動能力テストのうち50m走の男子のみ、対象園出身の児童の方が、他園出身の児童よりも有意に低い値を示した。これらのことから、個々の幼児の活動や取り組み方にも配慮する必要性が示唆された。 幼児の動きの評価の小学校との比較では、前年度同様1年生の動きの出現頻度が幼児および2年生よりも少ない傾向がみられた。この点については授業を含めた運動経験内容についての検討を継続して行なっている。 動きのレパートリーは教諭の意識的な配慮と実践がみられるようになったが、来年度はこれらの成果を踏まえ、動きのバリエーションと活動量について改善を試みながら運動遊びの教育課程への位置づけを精緻化していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画のうち、年間6回の園内研究会等を通し、前年度に抽出した運動遊びの中に見られる動きをもとにした運動遊びの検討と実践、また活動量および運動能力検査を予定通り実施した。今年度の計画はおおむね予定通り進展している。園内研究会等は当初の予定していた2~3回より多くの機会を設けることができた一方で、小学校低学年担任との協議の時間が持てなかった。これについては同校の研究発表会への参加、また園長(小学校長兼務)との協議による実態把握に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
1.幼稚園の教育課程への位置づけ:これまでの実践を加味しながら、運動遊びの教育課程への位置づけを精緻化する。この作業は、園内研究会において幼稚園教諭と申請者とが協議する形で実施する。園内研究会の日程はすでに調整済みである。 2.体力・運動能力検査:前年度と同様の方法にて実施。 3.効果の検証:対象併設幼稚園と他園との比較により小学校1年次の運動発達を比較する。また、幼稚園では4歳児から5歳児からの変化を検討前の教育課程時の同学年と比較する。さらに、幼稚園教諭および小学校教諭へのインタビューを行ない、効果の検証を行う。 4.まとめと提言・リーフレットの作成:これまでの成果をまとめ、幼児期にふさわしい運動の在り方の提言を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月の学会大会での発表に係る経費の確定(処理)が年度末となったため 学会参加費(その他)、ファイル等(物品費)で4月初旬に処理済
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