研究課題/領域番号 |
24500694
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
稲垣 良介 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (20583058)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 水難防止 / 着衣泳 / 河川 |
研究概要 |
本研究の目的は、学校体育下でのより効果的な水難防止学習プログラムを確立することをである。 本年度公表した研究成果は下記の通りであった。 ①小学生を対象とした着衣泳学習の指導項目に関する検討(福井大学教育地域科学部紀要2012年第3号に掲載) 第一に、プールで行う一般的な着衣泳に救命胴衣を取り入れた授業に参加した児童の授業前後の調査から学習のねらいに対する達成度(理解度)を明らかにすること、第二に、より詳細に検討すべく、泳力、救命胴衣着用経験別に分析した。対象者は、平成23年7月15日に行われた着衣泳学習に参加したA小学校児童5・6年生87人であった。救命胴衣着用経験者は38人であり、着用未経験者は49人であった。救命胴衣を用いた着衣泳学習への参加により児童の学習のねらい(指導項目)に対する達成度(理解度)は意図する方向に変容した。救命胴衣を用いる授業は少ない。今後、着衣泳の指導項目の一つとして学校体育において積極的に取り入れられるように、教育関係者に対して啓発したり、用具の購入や貸出制度を整備したりすることが必要だろう。また、泳力・救命胴衣着用経験の有無による相違点について、特徴の見られる項目を見出した。これは、着衣泳学習における、児童の実態把握、指導方法、指導形態の工夫・改善が重要であることを示唆した。 ②「自然水での『泳ぎ』」を起点とする教材開発-学校体育における水難防止プログラム構築に向けて-(福井大学大学院教育学研究科教育内容・教材開発研究会発刊報告書2012年に掲載) 本報告は、なぜ「自然水での『泳ぎ』」なのか、また「自然水での『泳ぎ』」を学校体育授業で行う経緯について、児童生徒の水難に関する実態、我が国の水難事故の実態、現在行われる着衣泳学習の課題をまとめたものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、水難事故を未然に防ぐ効果に着目し、学校体育下での「自然水における水辺活動」を取り入れたより効果的な学習プログラムを確立することが目的である。本年度は、①小学生を対象とした着衣泳学習の指導項目に関する検討(福井大学教育地域科学部紀要2012年第3号に掲載)、②「自然水での『泳ぎ』」を起点とする教材開発-学校体育における水難防止プログラム構築に向けて-(福井大学大学院教育学研究科教育内容・教材開発研究会発刊報告書2012年に掲載)について報告を行った。他に、平成25年度の研究に関する事前の予備的な授業を複数行った(未報告)。これらは今後の研究に着実に寄与することから、現在までの達成度は、おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、3点がある。 ①小学生に対する着衣泳学習の効果的なあり方を検討するため、実習だけでなく、事前・事後の学習を充実させること。また、その効果を検証すること。 ②河川を用いた着衣泳学習の指導展開案を学校現場と共に作成・実施し、その効果を検討すること。 ③水難事故は、児童・生徒の命に直結する事項である。そのため、体育教師を対象にする専門誌上で啓発を行う。内容は、我が国の水難実態に鑑みた着衣泳学習のあり方についてである。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度購入備品は継続して使用できる.ライフジャケットは,同一日に同じ学校で2クラスあるいは,2つの学校で同一日に実施できるよう新たに40着が必要である.これは,学校の都合上,夏休み前に実習が集中することが予想されるための措置である.また,25年度は24年度作成の計画に基づき実践を行う学校に共同で指導にあたるべく旅費を計上している.
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