本研究の目的は、水難事故を未然に防ぐ効果が期待できるより効果的な学習プログラムを開発することであった.具体的には、地域河川を利用した着衣泳学習プログラムと着衣泳の事前・事後指導のあり方を検討することであった. 1)着衣泳学習の指導項目の検討:小学生を対象に、プールでの着衣泳を実施し、指導項目ごとに事前と事後の学習測定結果を分析した。紀要に掲載。2)地域河川を利用した着衣泳の指導計画作成:中学生を対象に、地域河川を利用した着衣泳学習の学習指導案を作成した。大学と中学校に消防署を加え、水難事故の未然防止を意図した内容で構成された。学内紀要に掲載。3)着衣泳の指導内容に関する検討:着衣泳の指導内容について、横泳ぎの可能性を検討するため、クロール、平泳ぎ、エレメンタリーバックストロークと比較検討した。論文(査読有)に掲載。4)着衣泳による未然防止的効果の検討:中学生を対象に救命胴衣を用いた着衣泳を実施し、リスク認識と対策実行認識の変容を3時間点で比較した。論文(査読有)に掲載。5)河川での実習の未然防止的効果の検討:中学生を対象に、地域河川を利用して着衣泳の授業を実施した。河川に対する認識や河川環境に対する認識を授業前後で比較した。論文(査読有)に掲載。6)着衣泳の事前・事後指導の導入効果の検討:着衣泳に加え、熟練教師による事前・事後指導を実施した。その結果、着衣泳だけを実施した場合に見られなかった学習効果が認められた。論文(査読有)に掲載。7)未熟練教師教師による着衣泳の事後指導の導入効果の検討:着衣泳に加えて未熟練教師が事後指導を実施した場合に、未然防止に資する学習効果が一定程度期待できることを明らかにした。論文(査読有)に掲載。
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