本研究の目的は、専門性を有していない指導者であっても、安全に柔道の授業が展開でき、かつ伝統的行動の仕方の理解や技能の上達を促進できる中学生用「発見型柔道授業プログラム」を作成することである。以上の目的を達成するため、平成24年度には「発見型抑技授業プログラム」を作成し、中学生を対象に研究授業を行った。そして、平成25年度には評価結果を処理し、プログラムの有効性を検討した。その結果、「発見型抑技授業プログラム」は中学2,3年生に対しては有効に働いたものの、中学1年生に対しては成果が認められなかった。そこで平成26年度には中学1年生に対して効力を発揮するようにプログラムを再考し、中学1年生用の「発見型抑技授業プログラム」を作成した。そして、これまで作成したプログラムを基礎編(中学1年用)、応用前編(中学2,3年、または高校生用)、応用後編(高校生用)として再編し、その計画に合わせた学習ノートの原版も作成した。また、これらの作業と並行して、不足分の礼法学習用の動画や、「足型シート」を使った投技の動き作りのための動画を作成した。 平成24、25年度の研究で投技の動き作りのための教具「足型シート」の有効性は検証できたが、柔道講座の「運動伝導」得点は「準備局面」、「主要局面」の得点に比べてまだ低い状態であった。そこで平成26年度には対応策を講じ、大学生を対象とした柔道講座でその効力を実験した。その結果、平成26年度の「運動伝導」得点は平成25年度よりも向上しており、「準備局面」、「主要局面」の得点に比べても有意な差はなくなっていた。ところで、「足型シート」は足裏の形をしたカードで、携帯性は優れているものの、使用しているうちにずれが生じてしまうという欠点を持っていた。そこで、足型があらかじめプリントしてあるマット形式の教具を考案し、背負投・大腰用と、内股・払腰用の足型マットを試作した。
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