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2013 年度 実施状況報告書

動きの印象を決定する物理情報の分析および注視行動との関連性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 24500702
研究機関愛媛大学

研究代表者

田中 雅人  愛媛大学, 教育学部, 教授 (70207140)

キーワード印象分析 / 感性語 / 心理的尺度 / 動作分析 / 物理情報
研究概要

本研究の目的は,動きの印象を定量化するための心理的尺度を作成したのち,動きの時間的・空間的物理情報,身体特性などを説明変数,動きの印象を目的変数とし,動きの印象を決定する物理情報を特定する.さらに,動きを観察する際の注視行動を説明変数,動きの印象を目的変数とし,両者の関連性を検討することであった.
そこで,本年度は,動きの印象を表す感性語の構造を明らかにするとともに,動きの印象とモデルの身体的特性,および時間的・空間的物理情報との関連性について分析した.まず,大学生28名を対象者とし,ダンスのスキルレベルの異なる大学生(モデル)4名の3つの動きの映像を観察させ,9つの感性語で構成される心理的尺度を用いて評定させた.因子分析を行ったところ,動きの印象を決定する要因は,それぞれの動きの特徴によって異なり,複雑な因子構造をもつ動きと単純な因子構造をもつ動きとが存在することが明らかとなった.
また,モデルの身体的特性と感性語との関連性を検討したところ,身体的特性(身長,上肢長,下肢長など)が動きの印象に与える影響は,動きの特徴(滑らか動きか激しい動きか,ゆったりとした動きか速い動きかなど)によって異なることが明らかとなった.
次に,モデルの動きの映像をデジタイズし,動作解析プログラムを用いて時間的・空間的物理情報を収集した.その結果,時間的物理情報である動作時間と動きの速さに関する印象との間に関連性が認められたが,全く関連性を示さない動きもあり,速さの印象と物理的な運動時間とは必ずしも一致しないことが示唆された.また,空間的物理情報である指先やつま先の移動距離と動きの大きさや力動感に関する印象との間に関連性が示された.さらに,ジャンプ動作時の股関節や膝関節の角度変化と躍動感との間にも関連性が示され,空間的物理情報が動きの印象に影響を与えていることが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,昨年度作成した動きの印象を定量化するための心理的尺度を用いて,動きの印象を表す感性語の構造を明らかにするとともに,モデルの身体的特性との関連性について検討し,さらに,時間的・空間的物理情報との関連性について分析する計画であった.
まず,9つの感性語を変数として因子分析を行い,各動きにおいて2~3の解釈可能な因子が抽出され,この因子を動きの印象の下位尺度とした.
また,2台の高速度カメラ(DKH社:PH-1416C/100)で撮影したモデルの映像を17の計測点でデジタイズを行ったのち,解析プログラム(DKH社:Frame-DIASIV)を用いて動作分析を行い,動きの印象と時間的・空間的物理情報との関連性について検討した.
現在,動きの印象を決定する時間的・空間的物理情報ついて分析を進めている.研究は,おおむね順調に進展していると考えられる.

今後の研究の推進方策

次年度は,定量化された動きの印象と注視行動との関連性を分析するための実験を行う.今年度の実験で撮影したモデルの動きの映像を被験者に観察させ,動きの印象を評価させる.観察を行う際,眼球運動解析システムを用いて,被験者の視点の移動軌跡,移動速度,注視時間などの注視行動に関わるデータを収集する.
また,ダンスのスキルレベルが異なるものを被験者とし,スキルレベルによる動きの印象評価の違いや注視行動の違いを検討する.次に,動きの印象評価を目的変数,今年度の実験で収集したモデルの時間的・空間的物理情報および形態的特徴や運動能力を説明変数とし,多変量解析などの統計分析を行い,両者の関連性を検討する.さらに,動きの印象評価を目的変数,視線の移動軌跡などの注視行動を説明変数とし,両者の関連性を検討する.

次年度の研究費の使用計画

今年度は,ほぼ予算額通りに使用したが,一昨年度の残額がそのまま今年度の残額となった.
使用計画では,実験補助およびデータ処理のための謝金としていたが,注視行動に関わるデータの収集までには至らなかった.また,研究成果を発表するための旅費としていたが,予定していた1つの学会に参加できなかったことから,次年度使用額が生じた.
被験者の注視行動を検討するために用いる眼球運動解析システムは,昨年度の研究費ですでに購入している.次年度の研究費は,アイマークレコーダーを用いた眼球運動の測定を行う際の補助員に対する謝金,さらに,収集した注視行動に関するデータ解析のための謝金として使用する.
また,日本体育学会,日本スポーツ心理学会等の関連学会で研究成果を発表のために旅費として使用する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 動きの印象を表す感性語の構造分析2014

    • 著者名/発表者名
      田中雅人
    • 雑誌名

      愛媛大学教育学部保健体育紀要

      巻: 9 ページ: 29-37

  • [学会発表] 動きの印象を表す感性語と動作特性との関連性

    • 著者名/発表者名
      田中雅人
    • 学会等名
      日本体育学会第64回大会
    • 発表場所
      立命館大学

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公開日: 2015-05-28  

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