研究課題/領域番号 |
24500704
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉山 佳生 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (50284922)
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キーワード | 心理社会的スキル教育プログラム / 体育・スポーツ / 児童 / 噴火被災地 / 国際研究者交流 / インドネシア |
研究概要 |
本研究全体の目的は,インドネシア・ジョグジャカルタのムラピ山近郊地域の児童を対象とした,心理社会的スキルの獲得等を目的とする体育・スポーツプログラムを開発・実践し,その効果を検証すること,および,自然災害の被災下にいる青少年の心理社会的側面の改善に資する体育・スポーツ活動のあり方についての提言を行うことである。この目的達成のために,平成25年度は,下記の調査研究を行った。 1.対象者の基本情報の収集と分析 研究協力者であるジョグジャカルタ州立大学の講師を日本に招聘し,平成24年度の調査,および,その後に行われた調査の結果についての詳細な報告を受けるとともに,実践プログラムの作成・実施に向けての討議を行った。そこでは,平成24年度末に現地の状況および対象者の現状を把握する目的で行われた,小学校教師に対するインタビュー調査について報告され,その結果を分析した。加えて,噴火被災地,近隣都市,および,都市近郊の各地域に住む小学4年生から6生生の児童に対して行う,心理状態や心理社会的スキルに関する調査の基本方針を確認し,具体的内容を検討した。心理状態にかかる調査では,測定尺度としてDASSを用いることとし,この調査は,平成25年度後半に実施された。結果は,噴火被災地に住む児童の抑うつ,不安,あるいはストレスは,都市在住の児童と比べて特段に高いわけではないというものであった。その一方で,インタビュー調査からは,教師たちは,不安やストレスに対処するための心理社会的スキルが児童に十分に身についているとはいえない,と評価していることが明らかになった。 2.心理社会的スキル尺度の開発に向けた調査 心理状態にかかる調査と同時に,心理社会的スキルを測定する尺度を作成するための調査を行った。現在(平成26年3月31日)は,そこで得られたデータを分析し,測定尺度の作成を試みているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地の都合,および予想と幾分異なる結果が得られたことにより,教育プログラムの実践の開始が遅れている。しかしながら,プログラムの適切な評価のためには,現状把握や測定尺度の整備等は必須であるため,準備には十分な時間をかける予定である。そのために生じている遅延は,期間内の研究全体の目的の達成には影響はないものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
25年度までに行う予定であった作業を急ぐとともに,当初の研究目標を達成すべく,実践および調査を遂行していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は,活動の重点を,研究の進行状況を見据えて行う予定であった研究打合せや成果の公表から調査の実施やその結果の基礎的分析に移したため,旅費を中心に未使用分が生じた。 26年度については,調査結果を踏まえたプログラムの作成・実施にかかる打合せに加えて,これまでの研究成果を国際学会等で公表するために,この分の助成金を使用する予定である。
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