研究課題/領域番号 |
24500705
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
磯貝 浩久 九州工業大学, 情報工学研究院, 准教授 (70223055)
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キーワード | スポーツ行動 / 社会心理学 / 動機づけ / 他者との関係性 / 他者志向的動機 / ソーシャルサポート |
研究概要 |
本研究は、「他者との関係性に関する動機」を明らかにして、それが「スポーツ行動への動機」と「スポーツ行動」に及ぼす影響を検討し、スポーツ動機づけモデルを構築することを目的とした。平成25年度は、「他者との関係性への動機」「他者との関係性のあり方」「スポーツ行動への動機」「スポーツ行動」の関係について横断的に検討し、共分散構造分析等により動機づけモデルの試作を行なうこととした。また、縦断的な調査を実施して、他者志向的動機及び社会的目標の変化と「スポーツ行動への動機づけ」と「スポーツ行動」の変化について検討した。 1)<横断的研究>大学生スポーツ競技者1000名程度を対象として、前年の理論的枠組みの検討結果に基づいたモデルを基に調査を実施した。調査内容としては、他者志向的動機、ソーシャルサポート、スポーツ効力感、自己決定等、競技への取り組み、パフォーマンス、チームへの適応等を取り上げた。そして、スポーツ行動に他者との関係性がどのように影響しているか、共分散構造分析等を用いて検討した。その結果、ソーシャルサポートや他者志向的動機といった他者との関係性がスポーツ行動への動機づけ(スポーツ効力感等)を高め、そしてスポーツパフォーマンスに影響することが明らかとなった。 2)<縦断的研究>横断的研究成果を基に、縦断的な調査を実施して、他者志向的動機及びソーシャルサポートと「スポーツ行動への動機づけ」及び「スポーツ行動」の変化について調べ、関係性のダイナミズムを検討した。大学の2つのスポーツチーム(80名程度)を対象に縦断的な調査を実施した。その結果、他者志向的動機とソーシャルサポートが変化することに伴って、スポーツへの動機づけとパフォーマンスが変化することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1000名を超える競技者を対象とした調査が実施できたこと、他者との関係性を基軸としたスポーツ動機づけのあり方がある程度示されたことなどから、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成26年度は、2年間の研究成果を統合して最終的な「他者への関係性」を基軸とするスポーツ動機づけモデルを構築することを主な目的とする。また、その動機づけモデルを基にして欧米諸国と国際比較を行い、モデルが日本人の特徴を示しているか検証する。そして、研究の総括を行い研究成果を公表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査は当初予定通り実施できたが、対象としていた大学が近郊であったため交通費が削減でき、また対象者への謝金や調査補助者への謝金が予定よりも少なく済んだため、次年度使用額が生じた。 次年度は国際比較を行なうために渡航する予定であるのでその交通費に使用したり、データ解析のための謝金に使ったり、研究成果を公表するための旅費に使用したりする計画である。
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