本研究が推進した取組は、平成22年度から文部科学省が展開している「児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験」の実践であり、それはまた、今般の学校現場の「創作ダンス」(小学校は「表現遊び・表現」。以下、「創作ダンス」)離れに歯止めをかけることであった。そこで、美的創造的運動体験を拓くダンスも、芸術教科のように、コミュニケーション能力の向上に資する学習であることを示すために、ダンス・ユニット「んまつーポス」(研究協力者)と連携・協力し、「創作ダンス」の授業に効果的に結びつけたプログラムを提案・実施した。その結果、平成25年度から、研究協力団体のNPO法人MIYAZAKI C-DANCE CENTERが、全国でも数少ないコーディネーター方式の委嘱団体に採択となり、小規模校(後述)や小中一貫校、特別支援学校等での実践が可能となった。 最終年度は、延長した1年を含む4年間の実践研究の成果を、報告書「こどもたちはこうしてコミュニケーション能力を育んだ~芸術家・ゆさぶる・こども~」にまとめた。報告書の内容は、宮崎大学教育文化学部附属小学校・同中学校とお茶の水女子大学附属中学校の取組(前者は写真、後者は感想文)で構成した。さらに、4年間の実施校一覧(県外3校を含む12校。内訳は、大学の附属学校4校、小中一貫校2校、特別支援学校2校、小学校3校、高等学校1校)を添付し、作成した報告書を関係者・団体へ送付した。 また、極小規模校の宮崎市立鏡洲小学校の協力を得て、新たに「子供の貧困と芸術教育」から、「浴びるような芸術表現体験」(12回)を仕組み、リーフレット「こうしてわたしたち鏡洲小15人のコミュニケーション能力は向上した~芸術家・ゆさぶる・こども~」にまとめた。作成したリーフレットは、「みやざき子どもの体験活動フォーラム2016」で配布し、さらに県内全ての小学校に配布した。
|