研究課題/領域番号 |
24500708
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
高井 和夫 文教大学, 教育学部, 准教授 (00383216)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 子ども / 運動(遊び) / 調整力 |
研究概要 |
<研究目的> 「幼少年期の『こころ』と体の調整力を育む運動(遊び)の量と質」に関わる心理社会的環境の概念モデルを構築するため,研究動向分析に基づき身体活動,心身の発達,及び心理社会的環境の関係性を文献研究等により理解を試みた. <文献情報収集> 本研究題目に関わる主要な国内外の総説,及び主要文献データベースから,当該研究領域を特定する主要な鍵概念に基づき検索することにより,包括的に関連文献を収集した.また幼少年期の運動(遊び)の指針について,全米体育協会(NASPE)を始めとするガイドライン・勧告の動向について総合的かつ分析的に検討した. <資料分析の視点> 得られた文献情報については,Tamis-Lemonda研究の概念モデルに従い,幼少年期の運動(遊び)が「基礎的な動き」「調整力」の習得に及ぼす影響について, 次の要因との関連性を検討するよう分析した:①人口統計学的要因,②内的要因(こ,③行動的要因(調整力等),④ミクロ的要因(親・教師・指導者・仲間との運動遊び場面での関係性,等),及び⑤運動(遊び)の環境的要因. <主要な結果> 第1に,子どもの運動(遊び)行動の発達には,社会文化的背景といったマクロ的要因と同時に,子どもの発達課題の達成を支援する周囲の相互的な働きかけといったミクロ的要因が,密接に関連し合うことが示唆された.ゆえに,単に活動量の増加や遊びの人的・物的環境の整備のみで,幼少期の「基礎的な動き」の習得,引いては「調整力」の発達が生じないという逆説が推察された.従って,運動(遊び)による幼少年期の「こころと身体の調整力」育成のために,その心理社会的環境の在り方と効果的な方策について,より詳細な解明が必要となると予想される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たる目的を「幼少年期のこころと体の調整力を育む『基礎的な動き』の量と質」と設定し,下記の下位目的の解決を通じて,調整力の発達プロセスに相互に関連する量的及び質的側面についての実証研究,及びその全体像の理解を試みようとしている. 下位課題1では,「幼少年期のこころと体の調整力を育む『基礎的な動き』の量と質」に関わる概念モデルを構築を目指し,幼小年期の体育研究,遊び行動の発達研究等の研究領域における研究動向を概観することで,幼少年期の運動(遊び)と心身の発達及び心理社会的環境の関係性について解明を試みた.主たる研究目的の達成に向け,そして次の下位研究課題への全身に対して,現段階においておおむね順調に進展している,と判断する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主たる目的は「幼少年期のこころと体の調整力を育む『基礎的な動き』の量と質」と設定している.下位課題1での研究動向の理解に基づき,次段階である大規模調査研究,及び最終段階の質的アプローチによる解明を計画する. 以後,下位課題2(研究計画2年目)では,調整力の指標としての「基礎的な動き」習得プロセスに関わる心理社会的要因の解明を試みる.特に子どもを取りまく人的環境(特に,養育者と指導者)が,「基礎的な動き」の習得にいかなる役割を果たすか,解明を目指す.「親は子どもの鏡」と古くから言われるように,身近な大人の応答的な働きかけの機能について注目する. この後,下位課題3(研究計画3年目)において「こころ」と体の調整力育成をもたらす「基礎的な動き」及び「調整力」の習得プロセスに関する質的側面の解明を試みるよう企図する. 今後の研究計画の全体像において,現時点では具体的な調査及び実験研究の基盤として,検討すべき要因と要因間の関連性の見立てをおこなうことが可能となる.
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次年度の研究費の使用計画 |
次(H25)年度は,第2の研究計画である大規模調査研究を予定している.そのため,直接経費に800千円を申請予定である.その使用内訳としては,設備備品費に50千円,消耗品費に260千円,旅費に135千円,人件費・謝金に350千円,及びその他に50千円,の使用を計画している.
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