本研究は、オリンピック開催後を見据えたスポーツ政策の戦略性を、2012年ロンドン大会、2008年北京大会を事例に、スポーツ政策の変遷とその後の実態から明らかにするものである。両者に共通したのは、オリンピック大会後にエリートスポーツから市民スポーツや健康スポーツ重視への政策的転換であった。その背景には、高度化するスポーツのメダルインフレへの対応や急激に増大したスポーツ予算の再配分の問題があった。ロンドン大会では事前にレガシーが大会誘致に構造的に組み込まれていた結果、持続可能なスポーツを中長期的に展望し、開催地区の再開発とともにレガシーを確かなものにしていくことが求められていた。
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