研究課題/領域番号 |
24500728
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
石塚 和重 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (40350912)
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キーワード | 脳性麻痺 / 脳機能 / 筋代謝 / NIRs System / 運動負荷テスト / 科学的トレーニング |
研究概要 |
平成25年度は平成24年度の運動負荷試験内容を見直し、上肢錘持ち上げテストとして上腕二頭筋の筋代謝の変化(上腕二頭筋負荷テスト)及び下肢錘持ち上げテストとしての大腿四頭筋の筋代謝の変化(大腿四頭筋負荷テスト)、自転車エルゴメータ―による心肺運動負荷テストによる脳機能と筋代謝に及ぼす影響について追加検討し、健常者と脳性麻痺者との検討を試みた。対象は健常者5名、脳性麻痺者5名(痙直型1名、アテトーゼ型4名)で、運動負荷テストとして上腕二頭筋負荷テスト及び大腿四頭筋負荷テスト、自転車エルゴメーターを用いた心拍運動負荷テストを実施した。測定装置はSpectratech社制OEG-16(2台)を使用し、観測部位は 前頭前野16チャンネル、骨格筋(上肢:上腕二頭筋、下肢:大腿四頭筋、大腿二頭筋、)最大2チャンネル合計最大18チャンネルとした。 結果は上腕二頭筋負荷テスト及び大腿四頭筋負荷テストでは健常者、脳性麻痺者は類似した傾向がみられ、運動開始直後から酸素化ヘモグロビンが減少し、脱酸素化ヘモグロビンが増加した。運動終了後、酸素化ヘモグロビンが急激に増加し、脱酸素化ヘモグロビンが減少した。一方、自転車エルゴメーターによる心肺運動負荷テストにおいて健常者は運動直後は前頭前野の酸素化ヘモグロビンが一旦減少するが、運動に伴って酸素化ヘモグロビンが増加し、脳性麻痺者では運動によって酸素化ヘモグロビンの変化はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は健常者と脳性麻痺者を比較するためのパイロットスタディーをし,トレッドミル歩行と等速性筋力測定装置バイオデックスを用いた検査を実施した。結果として、等速性筋力測定装置を利用した筋運動において、脳性麻痺者の方が健常者に比べ筋力測定時に下肢筋の脱酸素化ヘモグロビンが酸素化ヘモグロビンより優位に増加するという結果であった。この結果を総合的に判断し、運動負荷テスト方法について再検討した。平成25年度は上腕二頭筋負荷テスト、大腿四頭筋負荷テストと心肺運動負荷テストについて追加検討し、それぞれの運動負荷における脳及び筋中ヘモグロビンの変化について検証を試みた。その結果、平成24年度に計画した運動負荷テストより明確に比較検討が可能であるという結論に至った。運動負荷テストなどの再検討と一部変更に伴い、被験者に対する測定開始時期の遅れが生じ、現時点ではやや遅れている状況にあると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は平成25年度に変更した運動負荷テスト(上腕二頭筋負荷テスト、大腿四頭筋負荷テストと心肺運動負荷テスト)を用いて、被験者数も増やして研究を進めていく。また、運動負荷テスト方法についても今後も再検討し、適した運動負荷テスト方法について明らかにしていく予定である。更に、脳性麻痺という運動障害の解明のためにも脳と筋代謝の両面から研究をしていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
被験者の旅費が予想していた額より抑えることができ、次年度使用額が生じた。 平成26年度は請求額と合わせて、主として光イメージング脳機能測定装置粘着パッドの購入、被験者に対する旅費や謝金、研究補助者への謝金、学会発表の旅費として使用する。
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