本研究では長時間走行中の走者の下肢動作および下肢筋活動の変化を明らかにし,長距離走におけるパフォーマンス向上に役立つ知見を得ることを目的とした.2つの研究課題(①走速度の変化にともなう筋の動員変化の機序の解明,②疲労時のパフォーマンス維持の方略の解明)を設け,光学式モーションキャプチャシステム,ワイヤレスEMGプローブを用いて,トレッドミル走行中の下肢動作および筋活動量を計測し,解析した.その結果,長距離走における走速度増加には特に股関節まわりの筋群が重要な役割を果たしていることや支持期における半腱様筋,前脛骨筋,腓腹筋,ヒラメ筋の活動が疲労の影響を受け易いことなどが明らかになった.
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