研究課題/領域番号 |
24500735
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
香川 博之 金沢大学, 機械工学系, 講師 (40251938)
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研究分担者 |
米山 猛 金沢大学, 機械工学系, 教授 (30175020)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 雪 / 摩擦 / 硬度 / スキー |
研究概要 |
雪面の摩擦係数評価を行うために、回転雪皿法および自然滑走法による測定装置を改良し、約3.5m/sまでの高速領域の測定を行えるようにした。改良した装置を使って、雪氷防災研究センター新庄支所の低温実験室において人工雪に対して摩擦係数の測定を行った。さらに、電気通信大学菅平宇宙電波観測所において自然雪に対して同様の測定を行った。これにより、雪温、滑走速度と摩擦係数の関係を高速領域までしらべることができた。これにより、本研究の範囲では、1m/s以上の高速領域において、動摩擦係数はほとんど変化しないことがわかった。 雪面の機械的特性について把握するために、押込み硬度測定を改良した。摩擦係数評価に使用した雪面に対して硬度評価を行い、雪質、雪温、密度との関係についてしらべた。本研究の範囲では、硬度は主に密度によって決まり、落下速度や錘の質量の影響をほとんど受けなかった。雪粒子径が非常に小さい場合には、硬度が高くなることもわかった。また、圧痕下に形成される圧密領域の形状や大きさについて詳細にしらべたところ、圧密領域はほぼ回転放物面形状をしており、その大きさは圧痕の大きさにより、ほぼ決まることがわかった。アニリン法により、雪粒子密度分布の様子を観察したところ、押込み変形は圧密領域内でのみ生じることがわかった。 わたみ・ねじり測定装置および小型圧力センサーをとりつけたスキー板を使って、スキー場にてスキーヤーによる滑走実験を行った。また、滑走後のターン軌跡における最大振幅位置における大まかなエッジング・プロファイルの測定を行った。次年度に解析を行うためのデータ収集を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
摩擦特性評価を行うための装置の改良や硬度測定装置の改良をおおむね予定通りに行うことができた。改良した装置を使って、雪質、温度、密度のことなる雪面に対する各種評価を予定通りに行い、多くのデータを収集できた。ただ、自然滑走法においては、初速度を与える装置の取り付け方法による問題などから、滑走体が安定して滑らないことがあるため、さらに改良を加える必要があることもわかった。 スキーヤーによる滑走実験については、測定装置の改良を予定通りに行うことができた。スキー場を貸切にし、一般スキーヤーが実験領域に入らないようにするには限界があったため、エッジング・プロファイルの測定はターン軌跡全体ではなく、部分的に行うことにした。 以上のように問題点も見つかったが、計画していたほとんどのデータ収集を行うことができたことから、現在までの達成度はおおむね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
問題点の見つかった装置の改良を行う。摩擦実験および押込み硬度実験については、さらに同様の実験を行い、データ数を増やす。 摩擦実験については、特に滑走面すなわち雪表面の観察に力を入れて、真実接触領域に関する考察を行う。静摩擦係数を測定する実験を行う。滑走体の静置時間と摩擦係数の関係を詳細にしらべるとともに、真実接触領域の変化について観察を試みる。 硬度実験については、評価結果をもとに雪面変形のメカニズムについて考察する。さらに、押込み実験をシミュレートできる雪面変形モデルの構築を行う。さらに、スキー場などのスキー滑走面などの実際の雪面に対する硬度測定を行う。 スキー滑走実験については、得られた実験結果の整理とエッジング・プロファイルのデータ化を行う。スキーヤーによる滑走実験を行い、エッジング・プロファイルデータを増やす。
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次年度の研究費の使用計画 |
装置保守や実験に必要な消耗品を購入する。問題のあった装置の改良を行う。雪表面を観察するために新たな観察装置の開発が必要となる。本研究は、他機関や野外で実験を行うことが多く、実験装置の運搬や人員の移動に関する経費が多くかかることになる。
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