研究課題/領域番号 |
24500735
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
香川 博之 金沢大学, 機械工学系, 講師 (40251938)
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研究分担者 |
米山 猛 金沢大学, 機械工学系, 教授 (30175020)
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キーワード | 雪 / 摩擦 / 硬度 / スキー / 押込み変形 |
研究概要 |
各実験は、昨年度と同様に雪氷防災研究センター(新庄)の低温実験室および電気通信大学菅平宇宙電波観測所の野外において実施した。 雪面摩擦については、スキー板から切り出して作成した滑走体により、昨年度までに滑走速度が約3.5m/s程度の高速領域まで動摩擦係数があまり変化しないという結果が得られ、摩擦熱による融解水の存在や関与に疑問が生じた。そこで、本年度はこれまでの実験に加え、静摩擦係数測定を行った。その結果、雪面の粒子径が小さくほど、待機時間(接触時間)が長いほど静摩擦係数が大きくなり、他の固体物質の凝着摩擦と同様の傾向を示すことを確認した。このとき、表面張力の異なる材料でも滑走体を作成し、同様の実験を試みた。さらに、透明アクリル板と雪面との真実接触部の観察も試みた。 雪面硬度については、内部に表面と平行な層状模様をつけた雪面に対して押込み実験を行い、円すい圧子押込みによる積雪内部の変形について詳細にしらべた。本研究の範囲では、圧痕下に形成される圧密領域内でのみ変形が生じることを再確認した。また、雪温、密度、粒子径の影響について実験的に明らかにし、簡単な雪面変形モデルを構築した。また、実際のスキー滑降によるエッジング・プロファイルの測定を引き続き行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
摩擦特性評価については、昨年度と同様に雪質、温度、密度の異なる雪面に対して動摩擦実験を行い、多くのデータを取得できた。また、静摩擦実験も予定通り行うことができた。ただし、データにはばらつきが多くさらに多くのデータ蓄積が必要であることもわかった。真実接触部の観察については、条件が整えば観察可能であることはわかったが、安定した接触条件を作りだすことがまだできておらず、接触面積の測定も行えていないという問題が残った。雪面硬度特性については、円すい圧子による測定は計画通りに終えることができ、簡単な雪面変形モデルを構築することができた。エッジング・プロファイルの測定については、予算の都合上、本年度はスキー場を貸切にすることができず、一般スキーヤーの間隙をぬっての測定にとどまった。 以上のように問題点もあるが、計画していた一通りのデータを収集できたことから、現在までの達成度はおおむね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
摩擦実験については、データ数を増やすため、これまで通りの実験を行う。真実接触面の観察を行う際、安定した接触圧を与えられるように治具を作成し、接触面積の測定を行う。滑走体の材質の影響についても調べ、表面張力などの影響について考察を行う。これらから、雪面摩擦発生メカニズムについて整理する。 硬度実験については、円すい以外の形状の圧子を使った押込み実験を行い、構築したモデルの妥当性について検証し、必要に応じてモデル修正を行う。また、スキー場などの実際現場における測定を行い、スキー滑走のエッジング・プロファイルの予測などを試みる。
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