研究概要 |
2010年以降、ケースとして収集しているデータの拡大化を図る。きしくも震災を挟む形で2010年、2011年とデータ収集を継続しているが、そこに価値観構造の変化がどのように起こっているか。社会的価値観であるならば、当該社会における変動には影響を少なからず受けるであろうが、そこに普遍性あるいは可変性という構造が見出されるかを検討した。500名以上の学生・国内指導者・国外指導者データ集積されており、うち大学生のデータは国際誌Social Sciencesに掲載された(2013.3)。この雑誌は社会学のプロパー誌であり、スポーツ価格の枠を超えた投稿であった。Sasaki Koh, et al, Cognitive societal human values of sports: After the 2011 disaster of Japan, Social Sciences, 2(1),pp1-6, 2013. DOI:10.11648/j.ss.20130201.11 モデルの特徴は、抽象的記述になりがちな社会的理念のなかで、明確に『国』といった帰属実体を含み置いた価値観を問うことにより、人々の存在実感を、様々な価値概念、例えば『生き抜く叡智』、『真の友情』、『達成感(絶えざる献身)』、『心の調和』、『世界平和』等との関与構造として理解できることにある(最終価値)。手段価値についても『勇気』『誠実』といった概念価値と共に『開かれた心』、『許す心』といった、より具体的な心性を組み込むことによって実感性の向上が期待できるが、本年度は、こうした価値の連鎖をスポーツという具象を論点とすることで社会における関連構造の記述可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国内データに加えて国外データの収集も進めることができた。また投稿した論文はスポーツ科学の領域を超えた、社会学プロパー国際誌に受理されたことは当該年度の計画以上の進展と考える。ある競技の国を代表するチーム組織による世界への『挑戦』が、その『時の確かな記憶』として社会に対して深い印象を伝えたのではないかという想定の下に、「挑戦は日本社会にどのような価値を伝えていると思いますか?」といった問いには今後も重要な論点であると考える。Sasaki Koh, et al, Cognitive societal human values of sports: After the 2011 disaster of Japan, Social Sciences, 2(1),pp1-6, 2013. DOI:10.11648/j.ss.20130201.11の他に佐々木康,ハストルーニー,村上純,下園博信,宮尾正彦,早坂一成,中本光行,渡邊一郎,山本巧,山下修平,黒岩純,上野裕一,岩淵健輔,中竹竜二,薫田真弘,古川拓生,勝田隆,河野一郎, 社会資本たる競技空間:孤独な群衆を同志集団へ, ラグビー科学研究,24(1),37-48,2013でも価値観についての考察を行った。
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