研究課題/領域番号 |
24500737
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
布目 寛幸 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (10270993)
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研究分担者 |
秋間 広 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (40292841)
池上 康男 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60092988)
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キーワード | サッカー / ボールインパクト / 軸脚 / 平滑化 |
研究概要 |
当該年度は、キックの繰り返しによる身体への負荷を見積もるため、ボールインパクト時に足部がボールより受ける力を精度よく推定するためのデータ平滑化方法を検討するとともにキック時に軸脚にかかる動力学を実測データより明らかにした。 まず、ボール配球マシンにより、垂直に固定されたフォースプレートにサッカーボールを投射し(9m/s ~22m/s)、その反力を実測するとともに、ボールの挙動を側方よりハイスピードカメラ(5000Hz)によって撮影した。前年度にその精度が確認された「ボール重心モデル」を用いてボール反力の推定を行った。その際、得られた座標値よりノイズを取り除くための最適な平滑化手法を見つけだすべく以下の2種類の平滑化手法:1)通常のバタワース型フィルター、2)フーリエ変換を精査・比較した。その結果、フーリエ変換を用いることで、通常のバタワース型フィルターでは、平滑化による歪みからボールインパクト前に反力を算出してしまう問題を解決することに成功した。 次にサッカー選手を対象に全力によるインステップキック動作をモーションキャプチャーし、得られた3次元座標と床反力データより、軸脚の動力学を明らかにした。その結果、ほとんどの下肢関節で関節トルクは負のパワーを発揮していること、腰部の回旋は地面反力に由来する関節間力によって加速され、蹴り脚側の関節トルクの反作用で減速すること、膝関節のみが終盤で正の関節トルクパワーを発揮することが明らかとなった。 これらの研究の一部を国際スポーツバイオメカニクス学会、日本フットボール学会で発表し、奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
キック動作(蹴り脚のスイング)の繰り返しによる身体への負荷を筋電図および3次元モーションキャプチャーを用いた動力学・筋モデルから見積もるための手法には一定の目処がつき、とくに軸脚側の動力学を明らかにする手法を確立することができた。しかしながら、ボールインパクト時のボール反力をモデルから推定する方法を試みたところ、通常のバタワース型フィルターによる平滑化を加えると、それに伴う歪みからボールインパクト前に反力を算出してしまうことが判明し、その解決に予想以上の時間がかったことで研究全体のスケジュール、とりわけ筋電図測定を伴ったキック動作のデータ収集にやや遅れがみられる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで本研究の実施・分析に関係すると考えられた問題点は、今年度までの研究活動においてほぼ解決することができたため、本年度はヒト(サッカー選手)を対象にした実験データの収集(とりわけ筋電図の測定)を重点的に行い。特にキックの種類の違いと蹴り出すボール速度(努力度)の違いが、蹴り脚と軸脚の内転筋群の筋活動、動作中の筋長の変化、動力学(関節トルク)にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究手法を確立する手順の若干の遅れから、予定していた被験者謝金などを使用できなかったため。 主として被験者謝金および実験のための旅費として使用する予定である。
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