研究課題/領域番号 |
24500740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長ヶ原 誠 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (00227349)
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研究分担者 |
石澤 伸弘 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60368553)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マスターズスポーツ / イベント / キャンペーン |
研究概要 |
本研究では、国内外で拡大している中高年スポーツ競技者を対象としたマスターズスポーツ大会に着目し、これまで収集された世界、複数国、全国、地域レベルの大会情報に関する資料分析と、それらの大会主催団体に対する質問紙調査や現地調査を実施しながら、大会主催組織開発、プログラム開発、啓発キャンペーン事業に代表される大会マネジメントの実態を把握すると共に、それらのマネジメントによって、大会出場者や開催地域に対し、どのような便益をもたらしているのかについて、最初の開催効果分析を行うことを主目的とした。24年度は、国内外のマスターズスポーツ大会(391ケース)の資料分析と共に、各大会主催者への質問紙調査を実施し、大会組織体制、大会プログラム開発、啓発キャンペーン実施に関する大会マネジメントの側面と、参加者や開催地域に対する大会開催の効果項目についての分析を行った特に明確な開催効果を示している大会については現地調査を実施しながら、大会主催者に対するインタビュー調査と資料分析結果をもとに、マスターズスポーツ大会の組織体制、大会プログラム開発、ボランティア運営、啓発キャンペーン実施に関するさらに具体的な大会マネジメントの内容と、それがどのように大会開催効果に繋がっているかについて分析を行なった。主な結果として、マスターズ大会はこれまでの経済的活性化効果だけではなく、大会主催者による中高齢者アスリートを対象としたスポーツキャンペーンのメッセージ効果により、生き甲斐創出、生涯スポーツの啓発、アクティブエイジング文化等の社会・文化的効果が見られ、特にヨーロッパ・オセアニア諸国におけるマスターズスポーツを主としたイベントプロモーションの成果が顕著であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マスターズスポーツをテーマとした国外の研究数は、2011年10月の時点で約2108件が確認され(sport discuss, medline, ageline, psychoinfo等のデータベース検索結果)、その中で振興事業の効果・便益を論じたものは544件であるが、これらは事例紹介や仮説提示のレベルに留まっており、実証的見地から事業の効果分析を行っているものは少ない。国内ではさらに研究数が減り、マスターズアスリートのパフォーマンスに着目した研究成果は見られるものの、社会学的、文化論的、振興学的視点からのアプローチが少なく、イベント事業とその効果を追跡調査や、スポーツの特徴を活かしたイベント開発や啓発キャンペーンの効果に対する評価研究や調査活動は限られている。現在、多種多様なスポーツ種目を対象として、各国で世界複数国、全国、地域の各レベルにおいてマスターズスポーツに関わる事業が精力的に実施され、これらの現状や成果を集約する必要性は叫ばれているが、国際的な調査研究には至っていない。本研究は、これらの情報を総集し、社会学と経営学的視点からマスターズスポーツ大会がもたらす各種効果を検証し、国際比較の視点から得られた知見を学術面と現場の事業展開に還元していくことを目指しているが、本年度は、情報量の非常に乏しい国内外におけるマスターズスポーツ大会を網羅したことが成果として挙げられ、それに加え、各大会の開催効果分析によりこれまで仮説的に示されてきた社会・文化的効果についての現象とその裏付けとなる具体的データを提示できた。本研究の目的と意義である本研究分野の情報量を増加させるという最初の目標を達成できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の分析対象以外で確認できている約200ケースのマスターズスポーツ大会の資料分析と共に、各大会主催者への質問紙調査を実施し、大会組織体制、大会プログラム開発、啓発キャンペーン実施に関する大会マネジメントの側面と、参加者や開催地域に対する大会開催の効果項目についての追加分析を行う。現地調査も並行しながら、大会主催者に対するインタビュー調査と資料分析結果をもとに、マスターズスポーツ大会の組織体制、大会プログラム開発、ボランティア運営、啓発キャンペーン実施に関するさらに具体的な大会マネジメントの内容と、それがどのように大会開催効果に繋がっているかについて分析し、さらには大会単位分析で得られた大会マネジメントと大会開催効果の情報を質的にカテゴリー化する。これらのカテゴリーを用いて大会開催国における比較分析を行い、類似性と相違性に着目して検討する。これらの国際比較研究の中で、我が国におけるマスターズスポーツ大会のマネジメントと開催効果に関する特徴と成果を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究で得られた大会マネジメントと開催効果のカテゴリーを開発し、それを用いた国際比較調査票を開発する。現在そのドラフトを作成中であるが、その妥当性をさらに検証し国際調査を実施していく。国際調査のための質問紙開発と実際の調査、およびそのデータ整理と分析に研究費を割り当てる。大会開催国における比較分析を行い、類似性と相違性に着目して検討し、国際比較研究の中で、我が国におけるマスターズスポーツ大会のマネジメントと開催効果に関する特徴と成果を明らかにする。
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