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2012 年度 実施状況報告書

スペクテーター・スポーツの魅力と権力作用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24500741
研究種目

基盤研究(C)

研究機関奈良教育大学

研究代表者

高橋 豪仁  奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40206834)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードスペクテーター / スポーツ / イベント
研究概要

女子プロ野球のゲームにおける観客の満足度とスポーツプロダクト因子との関係を明らかにするために、2012年10月18日・19日にわかさスタジアム京都において、女子プロ野球観戦者を対象にした質問紙調査(有効回答:346票、有効回答率:88%)を実施した。満足度を一番強く規定していたのは、スポーツプロダクトの中核的要素ではなく、拡大要素である「選手との交流」因子だった。特に、女性よりも男性の観客にこの傾向が見られた。「選手との交流」因子は、選手を交えた抽選会や試合後に選手と握手をしたりサインをしてもらったりすることを肯定的に評価する項目から構成されている。これはスポーツの中核的なベネフィットではなく、観客は周辺的プロダクトに女子プロ野球の魅力を感じていることが示唆された。
女子プロ野球では、男性のプロ野球ほど技術は高くないが、高校球児のような溌剌としたプレーや儀礼的行為を見ることができる。一方でリーグの演出として「シンデレラ」という言葉が使われていたり、選手がユニフォームを着たままグランドで曲にあわせて踊ったりして、乙女らしさやかわいらしさが演じられていた。スポーツにおける女性性の商品化あるいは男性による窃見症的な眼差しによる対象化であると批判されるかもしれないが、質問紙調査によると、観客たちはこうした演出に対して肯定的な評価をしており、特に女性の観客の方が男性の観客よりも選手のダンスパフォーマンスに好意的だった。
現在の女子プロ野球は、戦後間もない頃の女子プロ野球のような単なる「男性観戦者の眼差しの対象」ではなく、「力強さと美しさ」を両立させたものに向かおうとしている。しかし、高いとは言えない競技水準ゆえに、「強さと美しさ」ではなく、「球児の直向きさ」と「かわいさ」に留まっているのかもしれない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

女子プロ野球の魅力については、観客に対する質問紙調査やゲームやそれに伴う儀礼的行為の観察によって検討することができ、結果は日本スポーツ社会学会第22回大会で発表した。この点においては、順調に本研究が進んでいると言える。ただし有事におけるスポーツに対する人々のとらえ方に関する文献研究についての進捗状況は芳しくない。

今後の研究の推進方策

平成24年度は女子プロ野球観戦者に対する質問紙調査を実施したが、次年度は関東を本拠地とするチームができ、全国各地で試合を実施することになった女子プロ野球については、引き続きスタジアムにおいてどのような演出がなされているかを調査したい。被災地を本拠地とするプロスポーツ球団の観客を対象とした調査を予定していたが、その前に文献調査やイベントの観察を中心的に実施することで、スポーツの魅力やその力を、スポーツに作用する権力の観点から検討する。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は文献調査が十分できなかったため、次年度に使用する研究費が生じた。本年度は、スポーツイベントの観察とともに、文献研究に力を入れたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 女子プロ野球に関する一考察2013

    • 著者名/発表者名
      高橋豪仁
    • 学会等名
      日本スポーツ社会学会第22回大会
    • 発表場所
      福山大学
    • 年月日
      20130318-20130318

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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