研究課題/領域番号 |
24500742
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
井上 邦子 (松田 邦子) 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (40278239)
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キーワード | 身体観 / モンゴル国 |
研究概要 |
当該年度は9月12日から17日において、モンゴル国ウランバートル市周辺地域を中心に現地調査を行った。今回の調査では、土地所有法の内容把握と教育現場や伝統スポーツの中での身体観について動向を調査することを目的とした。 まず、土地所有法の法的内容を把握するため、同法に詳しい弁護士に聞き取り調査を行い、法律についての解説をお願いした。さらに教育現場で現在、どのように身体教育をしているのかを理解するため、ウランバートル市内の小学校において体育授業を観察するとともに、教員にもインタビューをし、モンゴル国の体育の考え方と最近の変化等について話を聞いた。加えて、伝統スポーツではどのような変化がみられるのかを把握するため、モンゴル相撲の力士にインタビュー調査を行った。近年急速に増えた「プロ」の力士に、給料体系や所属組織について、またプロ化によって変化した試合や練習方法について聞き取り調査を行った。さらに、力士の日々のトレーニングの状況を把握するため、練習場にも趣き、実際の練習の様子を観察した。 以上の調査によって明らかになったことは以下のとおりである。①土地所有法の詳細と現在の状況(土地所有の主体概念の変化)②モンゴル国の体育科教育の近年の動向③力士のトレーニング内容の変化④力士の組織について 研究成果については、当該年度は『神戸市外国語大学研究年報』(タイトル「身体に向かうグローバリゼーション」第50号、2013年、pp.25-33)が発行された。また、前掲の論文を当該年度の成果を加味して加筆修正した形で『スポートロジー』第2号(タイトル「身体に向かうグローバリゼーション――モンゴル国伝統スポーツの事例より――」2013年7月、みやび出版、pp.70-87)に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は9月に現地調査を行い、土地所有法に関して弁護士より専門的な知識を得ることができ、法律に関して理解を深めることができた。また、教育の現場や伝統スポーツを担う力士たちの間で、現在に起こる身体観の変化を調査することができた。 また当該年度は、『神戸市外国語大学研究年報』(タイトル「身体に向かうグローバリゼーション」第50号、2013年、pp.25-33)を発行することができた。また前掲の論文を加筆修正した形で『スポートロジー』第2号(タイトル「身体に向かうグローバリゼーション――モンゴル国伝統スポーツの事例より――」2013年7月、みやび出版、pp.70-87)に発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2014年夏季にモンゴル国ウランバートル、および地方で現地調査を行う予定にしている。これまでの現地調査において、土地所有法は土地所有の主体を「家族」の単位から「個人」に変化させているということが分かった。そうした法律上の所有概念の変化は、どのように国民に影響を与えているのかを詳細に調査研究したいと考えている。特に、定住化が進む当該文化の国民は、「個人」の身体をどのように考えるようになったのか、特に伝統スポーツを事例として、インタビュー調査を行い、資料収集を行っていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、第24年度三島海雲財団(平成24年7月~平成25年6月まで)学術研究奨励金の研究時期と重なりました。財団奨励金はモンゴル国の「弓射」に限定したものでありましたが、内容的に科研費研究と重なる部分があり、そのための支出(関連書籍、消耗品、人件費等)を財団奨励金より支出しました。そのため、年度初めの科研費の支出が抑えられ、次年度使用額が生じた大きな理由だと考えられます。 次年度も夏季にモンゴル国ウランバートルおよび周辺地域への現地調査を行う予定のため、旅費、通訳の人件費などに使用する計画です。また、現地調査で収集したデータ整理のための人件費や、関連書籍、プリンターインクなどの消耗品などに利用する計画です。
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