研究課題/領域番号 |
24500742
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
井上 邦子(松田邦子) 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (40278239)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 伝統スポーツ身体観の変容 |
研究実績の概要 |
本研究の目的、モンゴル国における土地所有法がもたらす身体観の変容について、モンゴル相撲を事例として研究することを踏まえ、本年度の研究実施計画は、当該地域のスポーツ環境の現状について現地調査し、検討を加えるというものである。 その計画をもとに、本年は9月19日から26日にかけて、主にウランバートル市およびその周辺地域を中心に現地調査を行った。まず相撲の現状を把握するため、相撲大会において調査し、力士や組織委員に対してインタビューを実施し、情報の収集を行った。さらに、モンゴル相撲大学の教員と面談し、大学教育においてどのような現状があるのかを中心に調査を行った。さらに、国立スポーツセンターにおいてスポーツ環境の現状について調査を行った。加えて、モンゴル国統計局において統計資料を閲覧し、土地所有法施行後、どの程度、土地所有が実施されているのか、定住が進み生業形態に変化がおこったのかについて、統計資料の収集もおこなった。 これらの現地調査により明らかになったことは、土地所有法施行後、特に首都周辺の人口が増大し、それにともない定住者が急増しているということであり、調査地域の3分の1程度の住民が土地を所有するにいたっているということである。また、グローバル経済が急速に浸透し、スポーツ環境においても、特にアメリカ文化(韓国経由の場合が多い)に非常に影響を受け、スポーツ大会にアメリカ企業がスポンサーになる例などの情報も入手した。 こうした調査の結果は、奈良体育学会シンポジウム(2014年11月29日於奈良女子大学、テーマ「スポーツのススメ」)において、シンポジストとして「からだ教育とスポーツ~モンゴルのスポーツ事情より~」)発表を行った。さらに、スポーツ史学会(2014年12月6・7日於富山大学)にて個別発表「土地所有法執行後における伝統スポーツの変容‐モンゴル相撲の身体観を事例として‐」を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も現地調査を行い、現地の協力者、インフォーマントにも恵まれ、おおむね順調に調査ができたと考えている。特に相撲大会組織役員や大学教員などから情報提供が得られ、モンゴル国の伝統スポーツの現状把握が進んだと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、現地調査は不可欠だと考えている。特に、モンゴルの土地所有に伴うグローバル化の推進と、伝統スポーツの環境がそれにともなってどのように変化してきているかを詳細に調査する必要がある。特に、グローバル化と同時に「ローカリゼーション」が起っていることも考えられ、そうした視点からも調査を行っていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張が公務の都合で比較的短期間しか行くことができなかったため、旅費の支出が抑えられた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は科研費4年目となり、研究のまとめの段階に入っていかなければならないため、資料の整理などを本格的に開始していこうと考えている。そのために人件費などの支出が必要となり、さらに資料整理に伴う機材および物品の支出も予定している。
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