研究課題/領域番号 |
24500744
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
斉藤 篤司 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (90195975)
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研究分担者 |
橋本 公雄 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (90106047)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自己選択強度 / 運動継続 / 生理的応答 / 心理的応答 |
研究実績の概要 |
本研究は運動の継続化をもたらす生理・心理的要因を生理的指標としての運動強度と心理的指標としての気分・感情に焦点をあて、特に、自己選択強度での運動時のこれら指標の応答から、計画的行動理論において、行動意図と関わらず直接的に行動に結びつく可能性のある統制感に対する影響を検証するものである。この目的を遂行すべく自己選択強度でのランニングをシミュレーションし、かつ運動時の生理・心理的指標がどのように同期しているかを測定するシステムを開発してきたが今年度は完成するに至らなかったため、基礎的研究ができなかった。そこで、研究期間の延長を申請し、承認された。なお、現在、システムの構築のめどが立ち、そのための準備を開始している。したがって、本年度の研究実績はこれまでの研究をまとめた著書の執筆と応用研究としての低山での登山を用いた長時間の自己選択ペースでの歩行に対する体水分状態の影響についての調査にとどまった。 1.著書「運動継続の心理学ー快適自己ペースとポジティブ感情」を分担研究者とともに共同執筆した。我々が検証している自己選択・自己決定型の運動は、従来研究されてきた運動による不安などのネガティブな感情の改善ではなく、ポジティブな感情の増加による運動継続化を目指したものである。最近、アメリカスポーツ心理学会がポジティブ心理学を提唱始めたことから、本研究の方向性の正しさが再認識された。 2.低山登山を用いた長時間歩行に対する体水分状態の影響を検証した。実際の運動場面では実験室でシミュレーションされた運動とは異なり、生体の状況や環境の影響を受ける。また、実験室でのシミュレーションでは難しい、長時間の運動時の生理・心理的応答として、体水分状態が体力および認知機能に対する影響について検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自己選択強度のランニングに対する生理心理的応答を同期させ、評価するシステムを構築中であるが、特に心理的指標を測定するための測定項目数が多く、生理的応答との同期ができていない。しかし、現在、心理的指標の測定項目を再検証し、項目数を減らすための調査が開始されており、期間の延長による平成27年度には測定が可能となり、本研究が遂行される予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終的なゴールは自己選択・自己決定された運動強度による運動は運動に対する統制感と内発的動機付けを高め、運動継続に結びつく可能性を検証するものである。したがって、本研究により自己選択強度の運動の生理・心理的特性が検証された場合、これが運動の統制感とどのように関わるか、また、これが運動の継続に結びつくかという介入研究へと推進されるであろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では自己選択強度の運動を実験室においてシミュレーションした際の生理・心理的応答を測定することが主要な課題であるが、そのためには運動時の運動強度、生理的応答および心理的応答を同期させて測定するシステムの構築が必要となる。これまで運動者1人での測定は可能であったが、2人同時に測定することができず、測定項目の見直しとシステムの再構築の必要性が求められ、1年間の期間延長を申請し、承認されたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
承認された次年度の主な使用計画は以下の通りである。1,システムの再構築に関わる費用、2,実験に関わる新たな機器の購入、3,被験者謝金、4,成果発表旅費
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