研究課題/領域番号 |
24500750
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北翔大学 |
研究代表者 |
山本 敬三 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (00405698)
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研究分担者 |
松澤 衛 北翔大学, 生涯学習システム学部, 准教授 (20433469)
坪倉 誠 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40313366)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | スキージャンプ / テイクオフ動作 / 数値流体解析 |
研究概要 |
平成24年度には、風洞実験用のスキージャンプ模型(1/2サイズ)を作成し、風洞実験のための加工を行った。 模型の作成にあたっては、先ず3次元人体計測システム「ボディラインスキャナC9036(浜松ホトニクス)」を用いて、現役スキージャンプ選手の体表面形状のスキャニングを行った。選手には、スキー以外の装備品(ヘルメット、ゴーグル、ジャンプスーツ、グローブ、ブーツ)を装着させ、実ジャンプ中の形状に近いデータを取得した。次に、コンピュータ・グラフィックス(CG)技術を用いて、取得した3次元人体形状データの関節に可動性を与え、スキージャンプ・テイクオフ動作中の2つの姿勢を形作った。人体形状データを14体節に分割し、関節部には球状の形状データを当てはめ、関節可動性に自由度を与えた。姿勢の形成にあたっては、模型の基となった選手の実動作を撮影し、ビデオ分析によって姿勢を決定した。形成した姿勢は助走姿勢と踏切動作の最終姿勢の2つとした。最後に、形状データを基に風洞実験で空気力および表面圧力分布の計測を行うための固定方法について検討し、粉末造形手法を用いて1/2サイズのジャンパー模型を2体製作した。 風洞実験では、空気力(揚力・抗力)と表面圧力分布の計測を行うことを目的とし、そのための加工を施した。空気力の計測には、風洞施設内の力覚センサへの模型の固定が必要であるため、模型とセンサを固定する治具を製作した。表面圧力分布の計測のために、模型表面に圧力孔(2mm径)を約80点設け、チューブで各孔から圧力センサまでの配管加工を施した。 この後、風洞実験を行い、模型が受ける空気力と模型の表面圧力分布を計測する。実験で得られるデータは、この後のCFDの計算条件の決定および計算結果の検証に利用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究計画・方法では、平成24年度に風洞実験を実施する予定であったが、模型の製作および加工に時間と予算が割かれ、風洞実験の実施には至らなかった。これは当初計画にはなかった計測項目として表面圧力分布計測を加えたためであるが、この後の数値流体解析の計算条件の決定や計算結果の妥当性の検討に必要であると判断し、追加した。平成24年度末までに実験用の模型製作は全て完了し、風洞実験は平成25年度の4月8日に実施し、必要なデータは既に取得済みである。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
テイクオフ動作中の数値流体解析(CFD)を行う。スキージャンプ・テイクオフ動作のCGアニメーションを用いてCFDを行い、テイクオフ動作中の流体解析を行う。動作中のジャンパー周辺気流状態の変化や空力特性を算出する。流体中に置かれた物体形状が変化する流体解析は移動境界問題と呼ばれ、物体の形状が複雑に移動・変形することによるCFDの計算格子の作成方法が課題となる。CFDの計算については、共同研究者の坪倉と相談の上、文部科学省ITプログラム「戦略的基盤ソフトウェアの開発」によって開発されたLES(Large Eddy Simulation)解析コード”FrontFlow/red”を用いる。このコードは非定常な渦構造を計算することに優れているため、本研究課題に適している。また、移動境界問題で最も重要である計算格子の作成法については、非構造格子で構成し、流出領域面では数値振動を抑えるため、プリズムメッシュを貼って計算する。坪倉のこれまでの研究経験から計算格子作成およびCFD計算には長時間かかることが予想されるため、平成25年度はこの工程を中心に研究を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
風洞実験のための風洞使用料、旅費交通費、消耗品費として使用する。数値流体解析(CFD)を行うにあたって必要となる高速計算処理能力を持つ計算機の使用料や人件費または計算機の購入等に使用する予定である。解析では、CGアニメーション制作を伴うため、必要に応じて実ジャンプ動作の映像データ取得する。そのための交通費、人件費、消耗品費として使用する。解析結果を関連学会(日本体育学会、国際スキー学会を予定)で発表するための旅費交通費として研究費を使用する。
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