研究課題/領域番号 |
24500761
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡田 純一 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (10277791)
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キーワード | ウエイトリフティング / 競技力 / 身体組成 |
研究概要 |
本研究はウエイトリフティング選手の競技力の差違に影響する筋量や筋出力に関する因子を明らかにすることを目的としている。とくに単位体重あたりの出力とその差違をもたらす因子についての検討を進める。このことは、ウエイトリフティングにおける競技力向上のための研究という位置付けだけではなく、筋出力向上の過程や他の階級制スポーツにも活用し得る情報をもたらすと考えられる。 平成25年度は筋量、筋力と競技力に関して検討するための測定を行い、測定および分析プロトコルの確認作業を進めた。対象者は全国高校総体団体優勝校から次年度にも活躍が期待される同じ階級の2選手とし、筋断面積および筋出力測定を行った。すなわち、膝屈曲・伸展筋群、下腿三頭筋、体幹、上腕屈曲・伸展筋群の筋断面積をMRI法によって評価した。筋出力測定については単関節運動として肘関節の等尺性伸展・屈曲筋力および膝関節の等速性筋力(30、60、 180d/s)の測定を実施した。さらに多関節運動としてスナッチおよびスクワットの模擬動作中のパワーを評価した。一方、身体組成としてインピーダンス法(Inbody)を用いて体重、体脂肪率および除脂肪体重を求めた。 A選手は除脂肪体重がB選手より7%低いが競技力(トータル)は8%高かった。すなわち全身の筋量はB選手の方が多いが、単位除脂肪体重あたりの競技力はA選手の方が15%高かった。筋出力において、脚伸展筋力に顕著な差は見られなかったが、脚屈曲筋力においてはA選手が高く、大腿後面の筋群が競技力と関係する因子と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はフィールド測定を行い多数の優秀選手を対象として、身体組成と競技力の関係を検討し、2年次(本年度)はより詳細なデータを研究機関において収集する計画とした。競技力が高く、且つ伸びしろのある選手を対象とすることにおいて非常に限定されたこと、対象が研究実施場所から遠隔の地に居住しており、経費的に少数のサンプルに止めざるを得なかった。しかし、研究計画に掲げた測定項目はほぼ収集することができ、測定機材や対象者の実情によって、測定プロトコルに修正を加えるなど、最終年度に備えた準備段階は終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
複数年に渡って研究に協力できる対象者が少なく、縦断的な検討として十分ではない模様である。そのため横断的に検討するため対象者を増やしていく。競技団体とも連携し、効率的に対象者を動員していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では優秀選手として全国大会上位入賞者に限定して、対象者の動員を図っている。そのため、対象者は近在者に限定されないため、研究実施場所への交通費が主な使途となる。H25年度は最終年度に向けての測定項目ならびにプロトコルを確立することに重点を置き、対象者を限定し支出を抑えた。 高校生以上の全国大会上位入賞者15-20名程度を対象として、研究実施機関での測定に参加して頂く。測定に1.5日を要するため、遠隔地からは2泊3日の旅程が必要な場合があり、一人6-7万円となる見込みである。
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