研究課題/領域番号 |
24500779
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研究機関 | 長野県短期大学 |
研究代表者 |
藤坂 由美子 長野県短期大学, その他部局等, 助教 (20442155)
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キーワード | 官立愛知師範学校 / 学会発表 |
研究概要 |
1.学会発表は昨年度からの計画どおり行うことができた。前年度(平成24年度)に実施した官立愛知師範学校および官立愛知外国語学校に関する史料調査の結果を踏まえて、以下の2つの国際学会において口頭発表を行った。 ①平成25年7月12~15日に札幌で開催された「東北アジア体育・スポーツ史学会第10回記念大会」での日本語による発表。テーマ「伊沢修二の体育観の形成に関する一考察」。 ②平成25年8月18~22日に台湾師範大学で開催された「国際体育・スポーツ史学会(ISHPES)」での英語による口頭発表。テーマ「The process of introducing physical education in early modern Japan –The practice of physical education in Aichi Prefecture in the early Meiji era-」 以上、①及び②の発表から、同じ官立学校であっても師範学校と外国語学校の教育課程や体育教育の違い、教育内容の受容ルーツの違いが明確となった。また、官立師範学校の中では愛知特有の教育実践が見られることは先行研究でも言及されているが、他の官立師範学校の教育内容と比較することで、愛知の他と一線を画した独自性が改めて浮き彫りとなった。このように、各師範学校・各教員の裁量によって教育内容(体操や遊戯の実践を含む)が選択・研究され、各校それぞれ実践が異なる状況が生じた背景を今後考察していく必要がある。 2.年度計画では、平成25年度に大阪・宮城・新潟の調査を実施する予定であったが、自らの所属変更等の事情により、平成25年度は調査のための出張にでかけることができなかった。これらは所属変更後の次年度に見送ることとし、平成26年度早々に宮城と大阪の資料調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学会発表は予定どおり行うことができたが、年度計画で予定していた大阪・宮城・新潟の史料調査を実施することができなかった。そのため、本研究全体の考察と論文執筆作業が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度が研究の最終年度である。以下の手順で残りの史料調査と研究成果のまとめ、公表を行っていく計画である。 1.官立広島師範学校、官立新潟師範学校、官立長崎師範学校に関する現存史料の調査を行う。各県の公立図書館、歴史博物館、公文書館、大学図書館などを拠点に史料収集を実施する。 2.すべての師範学校に関して収集した史料をもとに、それぞれの師範学校の教育内容や体操実践の実態について、共通性と独自性という視点から考察を行う。 3.これまでの体育史・教育史研究で明らかにされていなかった体操実践の実態を、「2.」で述べた視点をもとに原著論文にまとめ、『体育史研究』または『体育学研究』に投稿する。また、官立師範学校の体操実践に関する個別のトピックを取り上げて論文にまとめ、所属機関の紀要等に投稿する。論文掲載の見通しとしては、平成26年度末から平成27年度発行の雑誌等に掲載されるよう、執筆作業を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた書籍購入のための経費については、参考資料として利用したい書籍が既に絶版になったものが多く、購入には多額の費用がかかるため、大学図書館間の現物貸借等の措置をとって研究を遂行する方向で計画を改めた。 年度計画として予定していた史料調査(大阪府・宮城県・新潟県)が実施できなかったため、次年度に実施することとした。 平成26年度は、大阪府・宮城県・新潟県・長崎県・広島県の史料調査を行い、そのための旅費の一部として使用する予定である。
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