研究課題/領域番号 |
24500780
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
岩竹 淳 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10342487)
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キーワード | 伸長-短縮サイクル運動 / バウンディング / プライオメトリックス / ばね能力 |
研究概要 |
プライオメトリックトレーニング種目のひとつであるバウンディングは,その遂行能力を評価した立五段跳の跳躍距離が短距離走の疾走速度と高い相関関係を示す.跳躍距離でジャンプ力を評価する立五段跳であるが,運動開始直後は前傾姿勢で脚の屈曲伸展動作を伴うプレス型ジャンプであるのに対して,後半は直立姿勢で脚の振り込み動作を伴うスイング型ジャンプになるため,二種類の異なるジャンプ力が内在すると考えられる.本研究では,疾走能力の違いにより立五段跳におけるプレス型 (0-3歩目) およびスイング型 (3-5歩目) のジャンプ力が異なるのか明らかにしたいと考えた. 被験者は,高等専門学校陸上競技部に所属する短距離・跳躍選手13名 (年齢17.2±1.6yr,身長170.2±4.5cmおよび体重60.2±5.1kg) とした.被験者には,クラウチングスタートからの50m全力疾走を行わせ,光電管 (NISHI社, ジェスタープロシステム) で計測した疾走記録から求めた疾走速度の平均値を基準に,疾走能力上位群8名と下位群5名に群分けした.次いで,直立静止状態から立五段跳を行わせ,3歩目の踏切位置にランニングデータ収集システム (MICRO GATE社, オプトジャンプNEXTシステム) を設置し,3歩目までの跳躍距離を計測すると共に,5歩目となる砂場までの総跳躍距離をメジャーで計測した. その結果,プレス型ジャンプにおける跳躍距離は疾走能力上位群と下位群で差が認められなかったが,スイング型ジャンプおよび総跳躍距離は疾走能力上位群が下位群に比較して有意に高い値を示した.プレス型からスイング型へ移行する立五段跳のジャンプ特性を考えると,疾走能力上位群はプレス型で高めた推進力をスイング型へ転移させ,より大きなバウンディング運動を遂行していたものと推察される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は,疾走能力と立五段跳におけるプレス・スイング比との関係について検討することを目的としていた. 当初予定では,50m走を5m毎に区分して局面別の疾走能力とジャンプ力との関係について検討する予定であったが,測定できたのは50m走の平均疾走速度だけであり,局面別疾走能力の詳細な分析にまで至らなかった.一方,立五段跳の総跳躍距離に対するプレス型ジャンプ力とスイング型ジャンプ力の跳躍比については,測定・分析方法として次年度へ応用・発展させていける目途がついたものの,十分な被験者の獲得ができなかったことから,データ数を増やしたうえで発表したいと考えている. その他,疾走能力の高い被験者は,プレス型ジャンプで高めた推進力をスイング型ジャンプへ転移させながら,バウンディング運動をしていることが考えられたことは,今年度の主な成果である.疾走能力の改善をねらいとしたバウンディング系のプライオメトリックスを実践させる場合,プレス型からスイング型へのジャンプ力の転移に着目したプログラムの開発や指導方法の確立が必要になるのではないかと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度の予定としては,本研究で開発した立五段跳のプレス型およびスイング型ジャンプ力評価方法が,疾走能力の優劣を評価するものとして,また非競技者でも競技者でも利用可能なのか,その妥当性について検証する.また,研究最終年度でもあるため,これまでの成果を取りまとめて,学校体育現場やスポーツ指導現場においても実践可能な評価指標の確立を行いたい. 特に,今年度は被験者数を確保できなかったことが最大の反省点であった.被験者数を増員させるための方策を考え,疾走能力を加速局面や最大疾走局面に分類すること,立五段跳の総跳躍距離に対する各局面の比率を算出し,ジャンプ力転移能力の評価を試みたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定の学会発表が一つ減った為に生じた. 次年度の配分予算と合わせて,学会発表数を増やすことを考えている.
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