研究課題/領域番号 |
24500790
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
住谷 和則 香川大学, 医学部, 教務職員 (40294772)
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研究分担者 |
中村 丈洋 香川大学, 医学部, 准教授 (80419506)
三木 崇範 香川大学, 医学部, 教授 (30274294)
岡田 宏基 香川大学, 医学部, 教授 (00243775)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 軽運動 / プレコンディショニング / 脳神経細胞 / 樹状突起 |
研究実績の概要 |
現在の医療現場では、疾病予防・健康増進も推進され、脳出血のリスクファクターである高血圧症の予防・治療で、運動療法がよく用 いられている。運動による高血圧の予防は、脳出血の予防もしくは脳出血発症程度の軽減の可能性があり、そのうえ最近では運動プレ コンディショングという概念もあり、抗酸化作用が疾患耐性を有する可能性がある。よって二次的損傷の要因である酸化的障害の抑制 のために抗酸化能力の向上が出来れば、脳神経細胞の損傷が軽減され、機能回復期間も短縮されることは想像できる。 本研究では、我々の先行研究にもとに、ラットを用いて発症後ではなく発症前に運動プレコンディショングとして軽運動を行い、運動 プレコンディショングの状態をつくり、脳神経系に与える影響について組織学的・生理学的・行動学的に検討し、脳出血への耐性が明 らかになれば、臨床現場において疾病予防として大きな意味を持つのではないかと考えている。そこで、今年度は運動プレコンディシ ョングの状態の検討及び運動後の脳神経細胞への影響の解析, 通常ラットの日常における行動量の測定項目について測定・解析を行 った。 運動プレコンディショングの状態把握は非常に重要な位置を占めるので、研究初年度で行いその確立を目指した。8週齢の若年ラット を運動群(トレッドミル軽運動)、非運動群の2群に分け、平常時のラットの活動期行動量を用いて測定した。それをもとに運動前(1 週間)、運動中(3週間)、運動後(1週間)の2群間で比較検討した。運動群のみ運動中に行動量が若干増加傾向だったが、有意な差 は見られなかった。48週齢の老齢ラットでも同様に行ったが2群間に有意な差は見られず、逆に運動群のみ運動中に行動量が若干減少 傾向であった。脳神経においても組織学的に変化は見られなかった。以上によりプレコンディショニングの再検討が必要であることが わかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度の計画を通り、軽運動下における運動プレコンディショニングに焦点を当て、検討及び解析することとした。 このプレコンディショニング検討の段階では、我々の先攻研究において軽運動下では脳神経細胞においてはあまり変化が見られないことから判断し、脳神経細胞の解析よりは、行動量を重視した。そこで、人では高血圧症が起こりやすく軽運動が効果的と知られている老齢期に注目し、老齢ラットのプレコンディショニング検討を引き続き行った。 結果としては、若干の変化は見られたが各群間に有意な差が無く、予想とは違っていが、個体数を増やす事が出来た。そのため、再度運動条件を検討しつつ詳細で正確なデータを集積する必要があることがわかった。 また、より詳細な脳神経細胞(樹状突起)の組織学検討にも着目し、若干追加した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度計画の実験に遅れがあったので、この年度で適宜追加実験を行う。特に運動プレコンディショングの条件設定はすべての解析に 影響するので、実験計画の若干の変更を行い、行動量との関係を明確にする。その上脳神経細胞(樹状突起)の詳細な組織学検討も加え、その活性化も確認する。 運動プレコンディショニング状態を確立できたのなら、脳出血耐性の有無を検討する予定である。 脳出血は臨床的に出血に伴う脳浮腫および片麻痺が問題になる。そこでモデル動物作成後の急性期(1~7日)では、出血に伴う浮腫 を乾燥重量法で脳を測定し、浮腫の軽減の有無を確認する。軽減されているのならば、半身麻痺程度も軽減されると予想し、Corner T urn Test, Forelimb Placing Testを用いて半身麻痺を評価する。さらに発症直後から長期的に神経行動学的検査を行い、片麻痺の状 態を検討する。片麻痺の検討は、後遺症の程度を反映するので、重要な検討項目である。 その際にも、1日の行動量は変化することが予測でき、その裏付けとなりうるので、測定し解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が当初の計画より遅れているため、週1~2回程度実験助手を雇うため
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次年度使用額の使用計画 |
実験助手用
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