(研究1)ヤギ解剖学的1重束ACL再建術におけるCaP複合化腱の効果 膝屈曲60°、90°において、前方力を加えた際のin situ forceはCaP群の方が従来法より大きかった(p < 0.05)。脛骨の移動量においては、両群間に有意差はみられなかった。組織学的には、CaP群の方が従来法より大腿骨前方・脛骨後方の関節近傍での移植腱‐骨孔間の軟骨層が厚く(p < 0.05)、非固着部分が少なかった(p < 0.05)。骨孔拡大率、移植腱の成熟度には有意差はなかった。 (研究2)CaP複合化腱を用いた解剖学的2重束ACL再建術の効果 膝最大伸展・屈曲90°において、前方力を加えた際のin situ forceは2重束群の方が1重束群より大きかった(p < 0.05)。膝最大伸展・屈曲60°において、内旋力を加えた際のin situ forceは2重束群の方が1重束群より大きかった(p < 0.05)。特に、2重束群のPL束は膝最大伸展時の前方力・内旋力を加えた際に効果を発揮した。組織学的には、関節近傍での移植腱‐骨孔間の軟骨層、非固着部分、移植腱の成熟度ともに両群間で有意差はなかった。 結論 ヤギを用いた解剖学的1重束ACL再建術において、CaP複合化腱は、術後6カ月の移植腱‐骨孔の固着を改善し、膝の生体力学的な機能を改善した。CaP複合化腱を用いた場合、ヤギ解剖学的2重束ACL再建術は解剖学的1重束ACL再建術に比べ、膝の生体力学的な機能を改善した。CaP複合化腱と解剖学的2重束ACL再建術を組み合わせることで、より優れた膝機能を獲得できると考えられた。
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