研究課題/領域番号 |
24500793
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
和気 秀文 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50274957)
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研究分担者 |
向阪 彰 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00458051)
グホ サビン 和歌山県立医科大学, 医学部, その他 (30453179)
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キーワード | 生理学 / 運動 / 血圧 / 循環調節中枢 / ヒスタミン |
研究概要 |
我々はこれまでに、延髄孤束核におけるヒスタミン受容体H1を介した循環反応は運動時のそれと類似していることを明らかにした。ヒスタミン神経細胞は主として視床下部結節乳頭核に分布していることが知られている。本研究では、運動時の中枢性循環調節の機序を調べることを目的とし、視床下部結節乳頭核-孤束核系の役割について調べた。ラットの孤束核に逆行性神経トレーサーであるfluoro-goldを投与した結果、腹側結節乳頭核を中心とした細胞群が標識された。一方背側結節乳頭核の細胞群はほとんど標識されなかった。麻酔下ラットの腹側結節乳頭核をマイクロ同心円電極で刺激したところ、動脈圧、心拍数ならびに腓腹筋血流量の増加が認められた。尚、組織学的手法により刺激部位が腹側結節乳頭核であることを確かめた。また、孤束核にヒスタミン受容体H1アゴニスト(2-pyridylethylamine dihydrochloride)を微量投与したところ同様に、昇圧、頻脈、および筋血流量の増加と、動脈圧受容器反射の減弱を認めた。次に、H1受容体アンタゴニストであるcetirizine dihydrochlorideを孤束核に投与してから結節乳頭核電気刺激による循環応答について観察したところ、一部のラットでは刺激前に比べて昇圧反応の減弱(昇圧量や昇圧速度の低下、昇圧開始の遅延など)が認められた。血圧測定用のテレメトリーを用いた慢性実験では、腹側結節乳頭核を破壊すると、特にラットが活動している暗期に動脈圧が低値を示す傾向にあった。以上より、運動などの身体活動時の循環調節には腹側結節乳頭核-孤束核系を介したヒスタミン作動性神経系が少なからず関与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の「研究実施計画」に記載した実験を概ね遂行することが出来た。当初、平成25年度は背側結節乳頭核の電気刺激を行うことも予定していたが、逆行性神経トレーサーを用いた実験より、孤束核投射性ヒスタミン作動性神経は主として腹側結節乳頭核からの投射であることが明らかとなり、平成24年度と同様に腹側結節乳頭核の電気刺激実験を継続することにした。テレメトリーを用いた慢性機能実験についても、交付申請書に記載した内容に従って実験を行ったが、目的とした場所を正確に破壊できないケースが多いなど、腹側結節乳頭核の役割を結論付けるに至らなかった。これまでの実験成果は、当初の研究仮説を概ね支持するものであるが、平成26年度も引き続き同様の実験を継続する必要がある。また、平成25年度は、孤束核内ヒスタミンの圧受容器反射に及ぼす影響についても調べた。その結果、孤束核内ヒスタミンは、圧受容器反射感度を減弱させることがわかり、運動時とは異なる循環反応も一部惹起することを明らかにした。以上より運動時の中枢性循環調節にはヒスタミン作動系だけではなく、圧受容器反射を亢進させる系(例えばセロトニン系など)が混在する可能性があるなど、新たな研究仮説を立てることも出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度も引き続き平成25年度の急性、慢性実験を継続する。特にテレメトリーを用いた慢性機能実験では、腹側結節乳頭核破壊が自発性走運動時の循環調節に及ぼす影響について詳細に調べる。また、自律神経系機能の解析もテレメトリーより得られた血圧シグナルより解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね計画通りに研究費が使用されたが、一部予想に反する研究成果が出たことなどもあり、次年度使用額が僅かに生じた。 次年度は主に生理機能実験のための消耗品代に使用する。
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