グリコーゲンローディングに伴う運動時間の延長が,疲労からの回復過程に及ぼす影響について検討を行うため,Wistar系雄性ラットを,走運動を行わない群(SE-CON),疲労困憊に到る走運動のみ行う群(EX-CON),疲労困憊に到る走運動後にグリコーゲンローディングを行う群(EX-GLY)の3群に分けた.EX-CON群およびEX-GLY群に疲労困憊に到るまでの走運動を課した後,EX-GLY群には通常の餌と5% sucrose溶液を与えた.走運動の24時間後,安静時の張力-頻度特性を測定するため,坐骨神経を介し20 Hzおよび100 Hzの強縮刺激を加えた.その後,20 Hzの電気刺激を1秒に1回,発揮張力が初期値の60%に低下するまで加えた.疲労刺激後の疲労からの回復過程を比較するため,3群とも疲労刺激終了直後,30分後および60分後の張力-頻度特性,筋小胞体(SR)機能の測定を行った. 疲労刺激を加えていないEX-GLY群の筋中グリコーゲン含有量は他の2群と比較して約2倍,EX-GLY群の初期値の60%に低下するまでの時間は他の2群と比較して約1.8倍であったことから,グリコーゲンローディングは成功していたといえる.一方,疲労刺激終了直後,30分後および60分後の張力-頻度特性を比較した結果,3群間に有意な差異は認められなかった.また, SRの機能を示すSR Ca2+取り込み速度,SR Ca2+放出速度およびSR Ca2+-ATPase活性も,疲労刺激直後,30分後および60分後のいずれにおいても群間に有意な差異は認められなかった.よって,ラットに対してグリコーゲンローディングを施すと,筋中グリコーゲン含有量が増加し,疲労耐性は向上するが,疲労刺激終了後の回復過程には影響を及ぼさないことが示された.
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