研究課題/領域番号 |
24500797
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
酒井 健介 城西国際大学, 薬学部, 准教授 (70406784)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マグネシウム / 運動 / アシドーシス / TRPM7 |
研究実績の概要 |
運動負荷と生体Mg動態について、骨格筋TRPM7のタンパク質発現についてこれまで検討してきた。当該年度においてはMg輸送関連タンパク質の発現を確認する目的でTRPM7、TRPM6、CLDN16、MagT1のプライマーを設計し、各臓器(消化管、骨格筋、腎臓)における発現量の検討を行った。設計したTRPM7のプライマーを用い、骨格筋での発現量を検討した結果、安静ラットに比べ運動負荷ラットで105%の発現増加を確認した。Mg欠乏食では発現量が85%に低下したが、Mg欠乏ラットに運動負荷したところ103%にまで増加した。これらの結果はタンパクレベルでの発現量とほぼ同様の結果を示した。しかしながら、Groenestege WM et al. (J Am Soc Nephrol. 2006 )は、TRPM7は比較的多臓器に分布していることを報告しているものの、同一プライマーを用いて消化管(十二指腸)および腎臓にてTRPM7の発現を検討したが、その発現が確認されなかった。TRPM6およびMagT1に関しては、複数のプライマーを設計したが、現状各臓器での発現を確認できないため、引き続きプライマー設計の検討を行う。CLDN16についてはこれまで腎臓での発現が報告され、その他臓器での発現報告はなされていないが(Hwang I et al. Mol Med Rep. 2014)、設計したプライマーでは消化管(十二指腸)での発現がわずかに認められている。現在、異なる運動負荷、異なるMg給餌を供したラットでのこれらmRNAの発現量についての検討を行うとともに、塩化アンモニウム誘導アシドーシスラットおよびチアミン欠乏運動負荷ラットにおいてもこれらプローブを用いた発現変動についての検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成26年度は薬学教育におけるカリキュラム改訂準備(平成27年4月スタート)の大学学部業務が新たに発生し、それに伴い科学研究費助成事業補助事業期間延長申請をさせていただき承認いただいた経緯にある。
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今後の研究の推進方策 |
運動負荷やアシドーシスの程度、またMg給餌量の違いが消化管、骨格筋、腎臓におけるMg輸送関連分子の発現に及ぼす影響についてmRNAレベルで追跡し、可能な限りタンパク質レベルでも追跡する。設計したプライマーの一部は多臓器での検出に不向きなため、異なるプライマー設計を、また未検出のプライマーについては新たに設計しなおす。また血液ガスを指標としたアシドーシスとこれらMg輸送関連分子との関係については、経時的観察が必要であると考える。先に、慢性的な栄養状態や運動習慣におけるMg輸送関連分子の発現変動を確認した後、急性的な変化によるこれら標的分子の変動について検討することを計画する。Mg摂取や運動負荷が高血圧をはじめとする循環器疾患の予防に貢献することから疾患モデル動物を用いた評価を計画していたが、上記の研究進捗に併せてこの分野での研究の遂行は緩やかに計画する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究計画が大学業務等の影響により大幅に遅れたために次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画に基づき、実験用動物およびその他消耗品、成果報告(論文作成)について、これら費用を充当することを計画する。
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